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JPDA権利保護委員会
Vol.1「デザイン保護・それはデザインの環境の整備」 2009年7月15日


JPDA権利保護委員会では、デザイン保護を中心に据え、知的財産・知的財産権 に関する事柄を、皆様と一緒に考えていきたいと思っています。
この度、JPDAのホームページに委員会のスペースを設けましたので、不定期になりますが、委員会の活動報告を含め、いろいろな情報を発信してまいりたいと思います。
その一つの試みとして、さまざまな分野でデザインに関わりのある方々に、その分野ならではの切り口で語っていただこうと考えています。


●今回の活動報告は、以下の形式で開かれました「第一回知的財産セミナー」です


内容:「デザインの保護について」
●デザイン保護に関する様々な権利、制度
●意匠制度と意匠権の活用について
●世界をマーケットにした場合に考えるべき事


講師 意匠課 企画調査班長 北代 真一氏
参加資格 JPDA会員及び一般
期日 6月26日(金)
場所 特許庁(東京都千代田区霞が関3-4-3)
出席 47名(内訳:メーカー 12名、コンバーター 11名、デザイン事務所23名、広告代理店 0名、その他 1名)
欠席 3名

さまざまな立場の参加者と、初回のため知的財産の概要から入らざるを得なかった講義の組立になりましたが、北代講師の丁寧なご準備と、パッケージデザインに照準を合わせたお話で、参加者にお願いしたアンケート項目中「今後も参加したいか?」の設問には「是非参加したい35名」「参加したい5名」と、なんと85%の方に次回も希望との回答をいただきました。

★今回の情報発信は、知的財産の教育の現場でご活躍の関堂幸輔氏が、日頃のパッケージ・デザイナーとの交流を通して感じられた事をお書きいただいたものです。
次回から、どのように進んでいけば良いのかを模索しながらになりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

[権利保護委員会 委員長 丸山和子 担当理事 時田秀久]

 



写真:特許庁意匠課提供


  真のクリエイターの保護へ

大阪工業大学知的財産学部 専任講師  関堂幸輔

僭越ながら知的財産法を勉強して約20年、近年パッケージ・デザイナー諸氏との交流を通して考えたことを少々披露します。

小説を書く、音楽を作る、絵画を描く……これらはその創作者の、まさに知的な、精神的な、クリエイティヴな活動です。中世ヨーロッパで萌芽・発達し、わが国に継承された著作権制度の趣旨は、この精神的活動に報いることにあります。

他方今日の経済社会では、そうした精神的活動をさらに、メディアによって広く伝えることでより大きな経済的利益を得ることができるようになりました。作曲家によって創作された楽曲は、CDとして流通し、あるいは放送されて大きな利益を生みます。メディアに携わる企業は、そのビジネスで得た経済的利益の一部を、創作者に還元する――それが現代の経済、産業の構造なのです。

パッケージ・デザインでも同様。パッケージを纏う商品は、多くの場合やはり企業によって大量に製造・販売され、消費されていきます。「精神的活動としての創作の成果を売る」のではなく「目的物をより売るために創作する」という違いこそありますが、そのデザイン(創作)が精神的活動であることに変わりはありません。だからその産業構造にあって、法が適切に機能し、目的物である商品により得られた利益が精神的活動をなした者にきちんと還元されている、クリエイターの権利が保護されているものと、私はすっかり思い込んでいたのですが……。しかし、実態は違うようです。

そもそもパッケージ・デザインの多くが外部委託されていることも知りませんでしたし、これに関連して、デザイナーとクライアント・印刷会社との間で権利や責任の所在が曖昧になっている場合が多々ある、ということにも少なからず驚かされました。パッケージ・デザイナーは真にクリエイティヴな働きをしているのに、実際にはその権利が十分に保護されていると必ずしも言えないのではないか――ということに気づかされたのです。

(1)デザインした商品シリーズの新商品で、当初のデザインが無断流用・模倣されていたというケース、(2)デザインに用いた写真に写っていた建物について苦情があるのではとのクライアントの不安に対し、確たる自信もなく写真を差し替えたというケース、(3)ライバル会社の商品を見せられて「これと同じように作れ」と頼まれて拒めない話などなど……。

こうした問題に現在の法制度、特に著作権法制は十分に機能しているのだろうかというと、正直心許ないのです。

もちろん建前では機能しています。これらをクライアント等の信義則違反であるとか、モラル・知識の欠如・不足だとして、デザイナーを救済して片づけることは簡単です。しかしそれでは根本的解決にはなりません。事を荒立ててクライアント等の庇護を失ったデザイナーを護るべき法が当てにならないとなると、結局デザイナーが損をするのですから。

これをどうすれはよいのか……もちろん法だけで解決できる問題ではなく、そうすべきでもありません。クライアント・印刷会社はもちろん、デザイナーや一般への啓蒙も必要でしょう。しかし私たちのような者が、上記のような状況に無知なのはやはり問題なのです。

だからこそ私たちは、外へ出てデザイナーやその他の関係者とも積極的に協働して、状況を理解し、これからの法律や制度の在り方を考えなくてはいけないと思うのです。真のクリエイター保護のために。