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著作権と意匠権における「デザイナーの権利」
特許庁審査業務部意匠課・課長 川崎芳孝
これまでの関堂先生、丸山委員長の発言を受けて、もう少しデザイナーの権利について考えてみましょう。
人が著作物を創作したとき、老若男女を問わず著作権が自然発生し、その人には、著作者人格権として氏名表示権(著作権法第19条)を有することは皆様ご存じのとおりです。
それでは、人が意匠法の対象となるパッケージデザインを創作したとき、その人には、どのような権利が生じるでしょうか。
意匠法では、著作権と同様に創作をした時点において、特許庁への出願手続等をせずとも創作者に「意匠登録を受ける権利」が自然発生します。もちろん、特許法においても「特許を受ける権利」が生じます。
皆さん、この権利を聞いたことがありますか?
実は、この権利は、デザイナーにとって大変重要な権利なのです。
なぜならば、デザイナーがクライアントから受け取るデザイン料には、納品したデザインに関する「意匠登録を受ける権利」を譲渡した対価も一般に含まれているといえるからです。
このように、創作者に自然発生する「意匠登録を受ける権利」は、著作権と同様に他人に譲渡できる財産権だということを意識すべきです。
ただし、この「意匠登録を受ける権利」は、著作権とは違って模倣品に対し、差し止め、損害賠償等することができませんので注意が必要です。
次に、著作権法に規定される「氏名表示権」は、意匠法ではどのように考えられているのでしょうか。
実は、特許法、意匠法等に大きな影響を与える国際条約、すなわち、一般に「パリ条約」と呼ばれる国際条約に、以下のような規定があります。
「発明者は、特許証に発明者として記載される権利を有する。」(パリ条約第4条の3)
この規定は、特許法を念頭においた記載ですが、もちろん意匠法等にも適用されています。
この条約の規定に基づき、意匠法施行規則では、「意匠登録証には、次に掲げる事項を記載しなければならない。」(第16条)とされ、その中の第4号で「意匠の創作をした者の氏名」を記載しなければならないと規定されています。
ここで、重要なことは、デザイナーの創作したデザインについて、「意匠登録を受ける権利」をクライアントに譲渡したとしても、創作者の氏名は譲渡されない、ということです。
これは、著作者人格権は譲渡できない、という考え方と同じといえます。
実際の意匠登録証の写真ご覧いただければわかるとおり、「意匠権者」の欄には、クライアントの名前が記載されますが、「意匠を創作した者」の欄には、デザイナーの名前が記載されています。もちろん、意匠公報にもデザイナーの名前が記載されています。
個人的には、市場に出る商品のみならず、商品の広告、パンフレット、ホームページ等にも、意匠登録番号とともにデザイナーの名前を表記し、創作者を尊重する商慣行が広く浸透することを望んでいます。
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【意匠登録証】サンプル
赤矢印が意匠を創作した者の欄 ※画像をクリックすると「意匠登録証」の 拡大画像が表示されます。 |
【意匠公報】サンプル
赤矢印が意匠を創作した者の欄 |
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