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  JPDA権利保護委員会
Vol.4「キャラクターの原画は著作物?」 2009年9月25日 委員長 丸山和子
担当理事 時田秀久

活動報告
  平成21年度 D-8(デザイン関連8団体)「第1回デザイン保護研究会」
2009年8月20日(木)於:六本木アクシスビルJIDA事務局

各団体の近況と.今年度活動の方向が話し合われました。
研究会当初からのテーマには、1.意匠法、著作権法の保護対象からはずれた創作物の保護のありかた、コンペ、プレゼ等での不採用案の扱い、保護の方法研究、2.デザインの著作権保護(一部は意匠法との重畳保護)、3.意匠の無審査登録制(現行意匠法とのダブルトラック制)などあるが、今年度は具体的なテーマに絞って研究と、研究成果の実体化、8団体の共通理解とともに具体的行動につなげたいとして、意見の交換が行われました。
 


情報発信
  著作権と意匠権「キャラクターの原画は著作物?」

特許庁審査業務部意匠課・課長 川崎芳孝

 今回で第3回目の投稿となりますが、第1回目の投稿に対し、早くもご質問を頂き、筆者としてはうれしい限りです。そのご質問の要旨は、以下の2点です。

【質問1】キャラクターデザイン、毛筆のロゴ、パッケージ用に取られた写真は、著作物ではないのですか。


【回答】
いずれの原画も著作物であり、それぞれに対して著作権が生じていると考えられます。
 したがって、著作権の使用許諾を得ずに、原画のキャラクターデザインをメーカーが勝手にパッケージに印刷して販売すれば、著作物の複製となり、著作権侵害となるでしょう。
参考のために、意匠法でのキャラクターの取り扱いについてご説明しましょう。例えば、パッケージ(意匠出願の際には、一般に「包装用容器」という物品名で出願されます。)に、著名なネズミのキャラクターが描かれていたとします。
 その場合に、その出願人(メーカー)が「ネズミのキャラクター」の著作権を持っている会社ではない場合、審査官は、「他人の業務に係る物品と混同を生ずるおそれがある意匠」(意匠法第5条第2号)の規定に該当するとして、拒絶します。ただし、その出願人(メーカー)が、「ネズミのキャラクター」の著作権を持っている会社との著作権に関する使用許諾契約書等を審査官に提出し、使用許諾を受けていることを証明すれば、そのパッケージは意匠登録を受けることができます。
 もっとも、審査官は、すべてのキャラクターについてその著作権者を知っているわけではありませんので、著名でないキャラクターが描かれたパッケージは、そのまま意匠登録を受けることが一般的です。その際に、もしその出願人(メーカー)が、そのキャラクターの著作権者の使用許諾を得ずに、勝手に意匠登録を受けたとしたらどうなるでしょうか。
 意匠法では、そのような事態を想定し、以下のように規定されています。「意匠権者は、その登録意匠が、その意匠登録出願の日前に生じた他人の著作権と抵触するときは、業としてその登録意匠の実施をすることができない。」(意匠法第26条第1項要約)
 一方、その出願人(メーカー)は、せっかく意匠登録を受けても商品を販売(実施)できないのでは困ります。そこで、意匠法では、「意匠権者は、その登録意匠が第26条の規定する場合に該当するときは、同条の他人に対し、その登録意匠の実施をするための通常実施権の許諾について協議をもとめることができる。」(意匠法第33条要約)と規定されています。
 もちろん、協議の結果、著作権者が意匠権者に対して通常実施権の許諾をする場合には、契約により対価を得ることができます。




【質問2】パッケージデザインが著作物でないとしたら、デザイナーとクライアントが著作権について契約を交わす必要はなく、そこで使われている有名人によるロゴや写真やイラストについてのみ著作権問題が生じることになりませんか?


【回答】
デザイナーが創作するロゴ、写真、イラストの原画には、デザイナーが有名人であるか否かに拘わらず、著作権が生じると考えられます。デザイナーとクライアントの契約については、前回も触れましたが、まず、デザイナーが創作した創作物(原画、商品サンプル等)には、一体どのような権利が生じているのかの検討が必要です。その上で「デザイン料」とは、一体何に対する対価なのかを明確に分析する必要があると考えます。
 例えば、「デザイン料」には、コンサルタント料(1時間○○円等)、企画料、サンプル制作料(材料費)など、そして、意匠登録を受ける権利の譲渡料、ロゴ、写真、イラストの原画の著作権の譲渡料(あるいは、著作権を永久に譲渡せずに、例えば1年間に限った実施料)、原画や商品サンプルの所有権の譲渡料(あるいは、永久に譲渡せずに、例えば1年後には返却させる等制限を設けた譲渡料)等あるのではないでしょうか。
 クライアントとの現実の契約においては、一々そのような詳細な契約を結ぶことは非現実的な場合も多々あるかと思いますが、デザイナーのみならず、クライアントの立場の方々も是非検討していただきたい課題であると思います。
 しかしながら、個人的には、契約によってデザイナーとクライアントの対立構造を理想としているのではなく、魅力的なデザインの商品が市場に溢れ、消費者もデザイナーもクライアントもハッピーになれる社会に一歩でも近づくことを願っていることは言うまでもありません。


参考資料 意匠法条文紹介 

「他人の登録意匠等との関係」

第二十六条第一項  意匠権者、専用実施権者又は通常実施権者は、その登録意匠がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の登録意匠若しくはこれに類似する意匠、特許発明若しくは登録実用新案を利用するものであるとき、又はその意匠権のうち登録意匠に係る部分がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の特許権、実用新案権若しくは商標権若しくはその意匠登録出願の日前に生じた他人の著作権と抵触するときは、業としてその登録意匠の実施をすることができない。
 


  事例にあわせて、意匠法だけでなく知的財産権に関するいろいろな法律を身近な視点で解説を加えた形での掲載も考えています。
引き続きご意見、ご要望等は下記アドレスで受け付けています。

MAIL:info@jpda.or.jp