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  JPDA権利保護委員会
Vol.5「中国での意匠を巡る話」 2009年10月27日 委員長 丸山和子
担当理事 時田秀久

  情報発信・今回の川崎特許庁意匠課長のテーマは、中国の知的財産保護制度と、その無審査主義からの弊害についてです。
 


活動報告・A
  「D-8デザイン保護研究会」9月30日(水) 於:JIDA事務局

 日本デザイン団体協議会(D-8)のデザイン保護研究会が、本年度第2回として開かれました。
 第1回(8/20)で今年度の方向が話し合われましたが(VOL.4参照)、今回はその中から今年度の研究テーマが決まり、まず創作物保護の基本的な立場に立った「知的財産権侵害の可能性と危険性」に取り組む事になり、(1)「未登録デザイン成果物の保護表示の件」が議題に選ばれ、具体的な対応方法が話し合われました。

(撮影:JPDA)

 8団体の集合体ということで、それぞれのデザイン分野特有の問題がありますが、共通するものとして、実際の制作が創作とは全く関係の無い所で行われてしまうという事例が多々ある現状から取り上げられた次第です。
 現状では、創作デザイン・図面等にオリジナルであるという表記をしても、無断使用や 無断転用等を阻止する実効としては、なかなか難しいところがあるようです。
 そこで「創作物表示」としてD-8としての創作物マークを作成して、D-8メンバーの創作物に表示して行くのはどうか、又、そのマークが如何にしたら効力の有る存在と成れるかも課題として取り組んで行く事になりました。
(2)デザイン関連法規の改正に向けての意見申請の為の継続的な学習をしていく。
(3)8団体が参加する特質を生かした研究会として、意見交換を続けていく。
(4)各分野の意見を、巾広く聞く方向で情報を集めていく。

事をメンバーで確認しました。

 


活動報告・B
  「第二回知的財産セミナー」

 6月に開かれました「第一回知的財産セミナー」は、定員を超えたお申し込みに対して、参加をお断りしなければならず多くの皆様にご迷惑おかけしました。その為、今回も同じ内容でのセミナーを、前回同様に特許庁意匠課にお願いし実現したものです。
 当日は台風の影響で天候が危ぶまれましたが、大勢のご参加を頂き誠にありがとうございました。

 説明会に引き続いての懇親会には、橋本審査業務部長、川崎意匠課長、北代企画調査班長、木村生活用品上席総括審査官他2名の参加をいただき、JPDA側参加者15名と1時間半にわたって個別の質問や歓談が続けられました。

内容 「デザインの保護について」
・デザイン保護に関する様々な権利、制度
・意匠制度と意匠権の活用について
・世界をマーケットにした場合に考えるべき事
講師 特許庁意匠課 企画調査班長
北代 真一氏
参加資格 JPDA会員及び一般
期日 10月7日(水)
場所 特許庁(東京都千代田区霞が関3-4-3)
定員 50名
出席 46名(募集定員の内44名、経済産業省2名)
(委員・事務局を除く)
アンケート内訳 メーカー16名、コンバーター7名、デザイン事務所11名、フリーランス7名、広告代理店0名、その他4名




(写真:特許庁意匠課提供)
 


情報発信
  中国での意匠を巡る話

特許庁審査業務部意匠課・課長 川崎芳孝

 今回は、趣を変えて、中国での意匠に関する情報をお話したいと思います。
 近年、中国は、意匠も含め知的財産権保護に力を入れており、1984年3月12日第6期全国人民代表大会常務委員会第4回会議で、中華人民共和国特許法(中国語では「専利法」と表記されています。以下「専利法」と略します。)が採択されました。

 中国では、日本と異なり、意匠は意匠特許(中国語では「外観設計」と表記されています。)と呼ばれ、専利法の一部として規定されています。ちなみに、実用新案も、この専利法の一部として規定されています。
 さらに、意匠に関して、日本と大きく違う点は、登録要件の審査が行われない、いわゆる無審査主義であるという点です。
 この理由は定かではありませんが、平成20年の中国での意匠出願件数が約30万件という膨大なものであることも一因となっていると思われます。日本では、平成20年の意匠の出願件数が約3万3千件ですので、その約10倍となりますが、人口も日本の約10倍であることを考えれば納得できる数といえます。

 ただし、無審査主義であるが故、その弊害について日本企業から次のような指摘がされています。
 例えば、日本の企業「ABC株式会社」が、日本国内で新製品を発売し、それがヒット商品になったとします。そして、中国の企業「XYZ有限公司」が、その情報を日本の新聞やインターネット、TVなどを通じて知り、中国でも売れそうだと考え、そのヒット商品のデザインを模倣して、中国で勝手に意匠登録出願をしてしまうケースが報告されています。

 さて、専利法でも、日本の意匠法と同様に、中国専利局への出願前に世界のどこかで似たデザインが既に公表されていた(新規性が無い)場合には、その意匠権は無効となる旨規定されているのですが、先のとおり中国では審査されませんので、新規性が無いという無効事由があるにもかかわらず、中国ではそのまま意匠権が発生していまいます。
 このとき、もし、日本の「ABC株式会社」が中国でも売れそうだと考え、中国国内で新製品を販売しようとすると、中国で意匠権を持っている「XYZ有限公司」から突然、専利法に基づく意匠権侵害で訴えられることとなります。
 仮に訴えられたとしても、「ABC株式会社」は、中国での裁判において、既にそのデザインは新規性が無い旨主張すれば、「ABC株式会社」が勝訴することは明らかなのですが、中国の裁判では、日本国内でそのデザインが公になっていることの立証(公になった日時の立証)等時間と費用がかかり、とても大変であるとのことです。
 さらに、もし、中国において「XYZ有限公司」のみならず、「PQR有限公司」も同じデザインについて意匠権を持っていたら(このような状態を「ダブルパテント状態」と呼んでいますが、審査をしている日本では、まず起こり得ません。)、なおさら事態は深刻かつ複雑となります。

 このように、本来意匠を創作していない(意匠登録を受ける権利を有していない)のに創作したと偽って出願されたものを「冒認出願」といいます。中国では、無審査であるが故にこのような「冒認出願」が結構あるようです。
 もちろん、日本でも「冒認出願」の可能性はありますが、日本の意匠法にも「冒認出願」を拒絶する規定はありますので、少なくとも前記の中国のような状態での「冒認出願」は、意匠審査官によって拒絶される可能性が大です。

 日本で意匠権を取得するには、意匠出願をして審査官の審査を経なければならないという審査主義を採用しているため、費用と時間がかかりますが、その結果生じた、安定性、信頼性の高い意匠権は、皆様のビジネスにきっと役立つものと確信しています。


 

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MAIL:info@jpda.or.jp

 

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