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  JPDA権利保護委員会
Vol.11「意匠権の効力、意匠出願のメリット」 2010年5月26日 委員長 丸山和子
担当理事 時田秀久

  Vol.2~Vol.6までパッケージデザインと知財権の関わりに、まず興味を持っていただけたらと、特許庁意匠課の川崎課長から基本的な解説を交えてのお話しをお寄せいただきました。
今回の情報発信は、その第二弾-1として、「意匠権の効力、意匠出願のメリット」についての内容でお届けします。
 


情報発信
 

「意匠出願のすすめ」
特許庁審査業務部意匠課・課長 川崎芳孝

昨年度は、4回の特許庁意匠課見学会に対し、多くの会員の方にご参加いただき、ありがとうございました。皆様の意匠権に対するアレルギーが少しでも軽減されたことを祈っています。
ところで、ありがたいことに、この度改めて権利保護委員会丸山和子委員長から投稿依頼をいただきました。
そこで、今回は、今年の3月12日にJPDA西日本主催のセミナーで私がお話しした内容を中心に、「意匠出願のすすめ」と題して意匠権の効力、意匠出願することのメリットなどを書き連ねてみたいと思います。

一般に意匠権は、独占排他権などと呼ばれています。これは、一つの意匠権は、日本国内に一つしか存在せず、その意匠権に基づく製品の製造販売等(実施)は、意匠権者ただ一人が独占して行うことができ、他人の侵害品等に対しては、排除(差止め、損害賠償)できるということです。
「それは、著作権でも同じでは?」と思われる方もいらっしゃることでしょう。もちろん、著作権違反に対しては、差止め等行うことができますが、大きな違いは、著作権は、独自に創作した物であれば、日本国内に同時に複数の同一の著作権が生じる点です。

 
意匠権は、他者の創作物が独自創作であったとしても、排除が可能で一つしか存在し得ない
 
著作権は、他者の創作物が独自創作の場合、排除できず、同一の著作権が複数存在する可能性がある
 

 

したがって、意匠権の侵害訴訟では、侵害者が裁判の場で、意匠権者の実施品を真似していない(独自に創作したものである)と主張・立証しても、一般に意匠権侵害となります。逆に、著作権の侵害訴訟では、侵害者が裁判の場で、誰の作品も見ずに独自に創作したと主張・立証すると、結果、著作権侵害とならない可能性もあるということです。
更に、意匠権の侵害訴訟では、侵害者が意匠権の存在を知らなかった(悪意はなかった)と主張・立証しても、一般に侵害となります(これを法律用語で「過失の推定」といいます。)。つまり、デザイナーは、デザインする前に、必ず意匠公報、あるいは、特許電子図書館で他人の意匠権を調べておかなければならない、ということなのです。 
このように意匠権は、知らない企業から、突然「おたくの製品は、我が社の意匠権を侵害している恐れがあります。」といった警告状が送付され、最悪、裁判所に呼び出されて侵害と判断されたら、損害賠償や製品の廃棄(差止め)をしなければならないという、とても強い権利なのです。

このような突然警告状が届くといった不幸な事態を招かないために、私は、少なくとも市場に出す製品については意匠出願することをお勧めしています。
ところが、一般に意匠出願をする目的は、模倣対策ですので「意匠権をとっても模倣品が市場にほとんど出ないので意匠権を行使したことがない。したがって、意匠権を取得しても意味がない!」とおっしゃる方が時々いらっしゃいます。
しかし、意匠権を取得できたということは、他者の意匠権を侵害していないという、審査官による判断を得られた訳ですから、その意匠権に基づく製品を製造販売しても、突然、他者から警告状が届くという不幸な事態は生じにくいと言えます。つまり、意匠権を取得することは、単に模倣対策だけでなく、安心してビジネスを行えるという大きなメリットがあると言えます。(もちろん、審査官の判断が絶対ではないことは言うまでもありませんが、無審査制度ではこの安心感は得られません。)
更に、意匠出願した後に、審査官から「他者の登録意匠に類似するので、意匠登録を受けられません。」という拒絶理由が届くことがあります。
この場合、意匠権が取れないので「出願料金を損した!」とおっしゃる方が時々いらっしゃいます。
しかし、他者の登録意匠を早期に知ることができる訳ですから、市場に出す自社製品のデザインを変更する、あるいは、その意匠権者から実施許諾を得る等、量産化前に他者の登録意匠を侵害しない対策を講じることができ、無用な争いを回避することができるでしょう。
言い換えれば、意匠出願をするということは、多少費用と時間がかかりますが、専門家(審査官)により他者の意匠権を侵害していないか、調査してもらっているといえます。
現在、特許庁意匠課では、このような事例も含め、意匠権取得のメリット等を映像でご紹介しています。 
是非一度、特許庁ホームページ内の をクリックして「意匠権 ものづくりの強い味方」をご覧いただければ幸いです。

 


活動報告
 

今年度 第一回 権利保護委員会 2010年4月22日 於:JPDA事務局

議題1.)デザイン保護ハンドブック完成と配布
議題2.)HP Vol.10の内容確認とVol.11〜13について
議題3.)D-8デザイン保護研究会(6/29開催予定)提案準備資料
議題4.)第一回知財セミナー「デザインと商標」(6/25)の準備の確認

次回は6月中旬に委員会を開催する事を決めて閉会。

 


  引き続きご意見、ご要望等は下記アドレスで受け付けています。
MAIL:info@jpda.or.jp