JPDA権利保護委員会
Vol.36「画面デザインの保護」&「DSA日本空間デザイン協会」 2012年7月25日

  活動報告A は今年度 第1回 D-8デザイン保護研究会の開催レポートです。
冒頭勉強会#2として、特許庁意匠課のご協力により、【画面デザインの意匠法による保護についての検討】 の勉強会を実施しました。

デジタルカメラの操作画面、パソコンのアプリケーション画面、ゲーム中の画面、ウェブページの画面、アイコン自体等の画面デザインの意匠法による保護については、欧米、韓国では既に保護の対象となっていますが、日本では専用機(デジタルカメラ等)の操作画面を除いて保護の対象になっていません。
特許庁ではこれを諸外国並みに保護範囲を広げた時に、どのような問題があるのか、保護の範囲をどこまでとするのか等々の検討が行われています。
●現時点での検討状況 ●日本の意匠法による画面デザインの保護経過について ●これからの検討課題等についての説明と質疑応答がありました。

活動報告B はD-8の構成協会/DSA 一般社団法人 日本空間デザイン協会からの寄稿です。ディスプレイデザイン協会( DDA )から新しい協会名に替わり、協会の今日までの活動とこれからが紹介されています。空間デザインの作品例もご提供いただきました。
◆空間デザイン領域に於けるデザイン保護の意識について
◆D-8創作証への取り組み がまとめられています。

(編集・文責:権利保護委員会 委員長 丸山和子)
 

活動報告 A
 

2012年度第1回D-8デザイン保護研究会
2012年6月21日(木)冒頭勉強会18:30〜19:50 研究会 議事審議20:10〜21:45
会場:インターナショナル・デザイン・リエゾンセンター 東京都港区赤坂 ミッドタウン・タワー5F
   (協力・公益財団法人日本デザイン振興会)


出席者(順不同・敬称略)
SDA玉木俊和、藤井将之(委員長)/JCDA石原実/JAGDA近藤直樹/JIDA安藤孚、堀越敏晴/JID秋山修治、池田和修/DSA花岡豊、山本尚美/JPDA時田秀久、徳岡健、丸山和子(副委員長)/JJDA欠席
オブザーバー:(社)日本デザイン保護協会専務理事 関口 剛/JIDA横田英夫

* * *

D-8デザイン保護研究会 冒頭勉強会 - #2
【画面デザインを中心とした意匠制度の見直しの検討について】 の説明会

説明者: 特許庁審査業務部意匠課 意匠制度企画 室長 山田 繁和氏
特許庁審査業務部意匠課 意匠制度企画室 課長補佐 加藤 真珠氏

参加者:研究会メンバー(上記参照)の他に、今回は、研究会委員からの呼びかけに応えて、画面デザインに関心のある4名の方のご参加をいただけました。

DSA/
JIDA/
JPDA/
弓場哲雄氏(株)小林工芸社 常務取締役 企画計画室
横田英夫氏 副理事長
中越 出氏インターネット委員会理事、佐野文胡氏:同委員会委員


〈説明会会場での質疑応答場面〉 撮影:JPDA権利保護委員会

※説明会会場に隣接する東京ミッドタウン・デザインハブで「日本のグラフィックデザイン2012」展のオープニングレセプションが開催中でした。

■説明会内容の概要(概要まとめ:JPDA権利保護委員会、協力:特許庁意匠課)
1.意匠制度の概要
2.意匠法による画面デザイン保護の沿革


◆昭和61年〜
昭和50年代後半以降、家電製品や情報機器に液晶等を用いた表示画面が広く用いられるようになったことから、「物品の表示部に表示される図形等に関する意匠の審査基準」を制定した。

◆平成11年〜
平成10年の意匠法の一部改正(平成11年1月施行)で部分意匠制度導入。物品の部分のデザインの保護が可能になる。これにより、物品の表示画面部分の創作について意匠登録を受けることが可能になる。

◆平成19年4月〜
平成18年の意匠法の一部改正(平成19年4月施行)により、「操作画面」(物品の本来的な機能を発揮できる状況にする際に必要となる操作に使用される画面デザイン)が新たに保護対象となる。
又、当該画面デザインが、同時に使用される別の物品の表示部に表示される場合も保護されることになった。
ただし、アプリケーションソフトウエアや、ゲームソフトの画面デザインは保護対象にはならなかった。

◆平成23年8月〜
意匠審査基準改正により「表示画面」(物品の機能を果たすために必要な表示を行う画像)については「意匠」を構成するものとして保護が明確になった。
また、変化前と変化後の画像が
●物品の同一機能のための画像であり、
●変化の前後の画像に形態的関連性が認められる場合は、複数の画像を含んだ状態で一意匠と認定されることとなった。
なお、アプリケーションソフトウエアや、ゲームソフトの画面デザインについては、依然として保護対象外。

以上の背景を踏まえて3.〜5.の説明がなされた。
3.意匠法による画面デザイン保護の現状
4.画面デザイン保護拡充の検討状況
5.今後の検討項目

続いて、現行での意匠法による画面デザインの取り扱いを、事例を基にして以下の説明を受けた。
6.画面デザインの現行の審査基準
7.意匠法で保護される「画面デザイン」
8.画像を含む意匠において、画像が変化する場合
9.画面デザインの新規性の判断
  画面デザインの創作非容易性の判断


最後に、「意匠審査基準」を一般に公開、各地で説明会が開かれ、出願人及び第三者にとって、権利範囲が予見可能なものとなるよう、類似の範囲の判断の事例集や、具体的な想定事例を特許庁HPで公開されていることの紹介があった。
●特許庁HP  
 http://www.jpo.go.jp/indexj.htm
●画像意匠登録事例集について
 http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/kijun/kijun2/gazoutouroku_jirei.htm

* * *

■勉強会の後に、今年度第1回 D-8デザイン保護研究会が開始され、以下の議題が検討されました。
平成24年度 第1回 D-8デザイン保護研究会 議事録(概要のみ掲載)
議長: SDA藤井将之

議題1.D-8創作証に関して
・各団体の状況報告
・周知の方法の続・検討
・D-8創作証ユーザー登録を増やしていくための対策
・他

議題2.7月のD-8運営会議への予算申請を踏まえて活動方向の検討
・D-8ウェブ環境整備実現に向けて起案するための検討
・創作証周知のための費用の検討

議題3.勉強会の企画
・協会それぞれの考えに依る実施方向、D-8会員全体へ呼びかけての可能性が話し合われた。

議題4.知財アーカイブ検討
・資料のデータ保管をしていく事を決定。

議題5.その他
委員から、以下の2件の知財トピックス配布資料があった。
【電子書籍 普及は進むの?「著作権、配信拡大の壁に」】
【違法ダウンロードに罰則・・改正著作権法成立】

以上

議事録作成・概要整理:JPDA 丸山和子

★次回の予定日程は8月30日(木)とし、詳細は後日として閉会。

 

活動報告 B
 

連載「D-8デザイン保護研究会メンバーからの各協会のデザイン保護事情」
第3回:DSA 日本空間デザイン協会・理事/調査研究委員会 所属
    山本尚美 (株式会社 資生堂経営企画部 クリエーティブディレクター)

◆空間デザイン協会の今

今年、一般社団法人日本空間デザイン協会(DSA)はディスプレイデザイン協会(DDA)から、新たな協会名とともに新たな一歩を踏み出しました。

1959年、1963年に前身となる任意団体が大阪と東京でそれぞれ誕生しました。ディスプレイデザインのメルクマールとなったのは1970年の日本万国博覧会です。あらたな環境演出、空間創造が次々と試みられ、ディスプレイが総合的な空間・環境の創出する業種へと進展する起爆剤になったと同時に社会の中に開花する役割を果たしました。そして時代とともにメディアの多様化、情報技術やその融合化そして人々のライスタイルが変化し、広義の空間そのもののデザインとコミュニケーションの創造活動と広がり続けています。そしてその実態にそってデザイナーだけでなく、プロデューサー、クリエーター、プランナー、アートディレクター、設計者、エンジニア、演出家、照明家、芸術家、教育者、研究者など様々な分野の専門家により構成される協会としてその担うべき姿を変容させています。

◆空間デザイン作品例




(写真提供:DSA)


◆空間デザイン領域におけるデザイン保護の意識
前述の通り、関与するステークホルダーも複雑で、創作者(含法人)の主観的判断だけでは、独創性、非類似性を見極めることは非常に困難です。多くの空間デザインでは純粋に無からの創造だけでなく、多種多様な既存の創作物も含まれた要素を再構成し、演出された総合創作物という概念があるため、それを見極める為のリテラシー、例えば全体デザインの中での切り取り方や規定の仕方が重要になってきます。法的権利の出願申請もこのような事情があり、当業界にとって知財は敬遠されがちというのが現状です。
(注:現在特許庁では空間デザインの意匠登録出願における図面の様式:提出要件の簡素化・多様化等の検討段階に入っているそうです)

そのような理由もひとつとしてあり、空間デザインに携わる人々のデザイン保護の意識も関心も低いことは事実です。例えば、技術が絡むパッケージデザイン、工業デザインなどは企業自身がそれらを知的財産としてとらえ法的保護対象を視野に入れています。しかし一部の空間デザインでは極端にいえばセールスプロモーションの一端で、仮設一過性なものとしてその必要性を感じないというのがクライアント(企業)の認識です。一過性であることとデザイン保護に値しないことは比例することではないのですが、これまでの商習慣から生じた業界の常識は創作者側も簡単に覆すことも難しいという背景があります。

◆D-8創作証への取り組み
そこで、日本空間デザイン協会(DSA)では、知財権に関連した研究委員会を分科会として発足させ、D-8の創作証をデザイン保護の啓発や空間デザインの技術・品質向上を目的に活用、活動することを検討しています。複合要素のデザイン創作物のため主観的判断では、偶発的に酷似したデザインに創作証を添付してしまう可能性もあり、それが反対に創作証のオーソリティを毀損することになります。そのため、創作者がデザインの独自性を見極めるのではなく、むしろ客観的に判断できるコミッティー(例えば当協会や当委員会)で、オーソライズする方向や機会を模索している最中です。いくつかの事例を紹介することにより、デザイン価値の独自性や新奇性などを主張する視点をもつことや、自身のデザインに対して見つめるきっかけになることを期待しています。
 

  引き続きご意見、ご要望等は下記アドレスで受け付けています。
MAIL:info@jpda.or.jp
 

最新号:Vol.42「D-8創作証って何?」2013年01月25日
バックナンバー:
    Vol.30〜「取り消される商標」、「D-8創作証」(2012年2月〜)
    Vol.18〜29 「JPDA知財塾」、「デザイン業務で学ぶ契約」ほか(2011年1月〜12月)
    Vol.8〜17「特許庁意匠課 見学ツアー」、「デザイン保護ハンドブック」ほか(2010年2月〜12月)
    Vol.1〜7「デザイン保護」、「著作権と意匠権」ほか(2009年7月〜12月)