担当理事: 池田修一、島崎紘而
開催日時: 9月6日(木)10:00〜17:00
9月7日(金)10:00〜19:00
開催場所: 凸版印刷・印刷博物館内
グーテンベルクルーム
参加者: 32名
講 師: 加藤芳夫氏 サントリー(株)

●セミナー報告
教育担当委員:松本 泉

今回のアートディレクターコースは、講師にサントリー(株)の加藤芳夫氏をお迎えし、9月6日、7日の2日間にわたって行われた。場所は前回のデザインマネジメントコースの時にも利用させていただいた印刷博物館内の研修室。建物、備品とも新しく、とても気持ちのいい空間である。講師の加藤氏についてはいまさら語るまでもないが、“なっちゃん”“DAKARA”など次々とヒット商品を生み出す一方で、“なっちゃんの秘密”を出版されるなど幅広い活躍をされているアートディレクターである。その加藤氏の人気を裏付けるように、定員をはるかに超える32名の生徒達が集まった。
初日の午前中はスライドを交えた講議。御自分の少年期からの体験談をちりばめながらディレクターに必要な5W1Hの話へ導いてゆく。スライドでは、次から次へと失敗例を見せ、解説を加えていく加藤氏。見なれた成功例ばかりの講議よりずっと生々しく伝わるものがあったと思う。
午後からは6チームに分かれ、演習に入った。新飲料のコンセプトを翌日の昼までにまとめあげ、発表しなければならない。実を言うと私も6年前、同じ加藤氏によるアートディレクターコースに参加させていただいた経験があるので分かるのだが、このチームでの作業というのが楽しくも苦しいものなのだ。初対面の人達との出会い、コミュニケーション、そしてリーダーシップの発揮‥‥時間との戦いでもある。
しかし加藤氏は、あの温和なキャラクターで各チームに次々とアドバイスを与えていく。生徒達もリラックスしたムードでブレーンストーミングに入っていった。少し遅れ気味のチームには、初日が終わってからも場所を変えて指導にあたられたそうである。
その甲斐もあってかすべてのチームが時間内に完成することができた。信じられないラストスパートである。そして発表。加藤氏のコメントは常にいいところを見ていくポジティブなものだった。講議で語られたことがすべてこの演習へ直に繋がっている。
加藤氏が生徒達に何を教えたいかがひしひしと伝わってきた。
ひとつの事を成し遂げた後のビールはうまい。ましてやチームならなおさらである。
スケジュール最後の懇親会は案の定おおいに盛り上がった。ここで交わした名刺の数々は、得難い貴重なものである。この出合いが、今後生徒達の宝になることは間違いないだろう。


作 品: クリックすると拡大します。
Aチーム Bチーム Cチーム Dチーム Eチーム Fチーム
 

懇親会:


感 想: ●東洋製罐株式会社
 マーケティング部 グラフィック・デザイン担当
 吉川 美紀


今回の講習で、ADとしての「コンセプトづくりのポイント」や「デザインのまとめ方」を学べたことは、自分にとって大きな前進となりました。これだけいろいろな商品(飲料)が世に送り出されている中で、“どんなコンセプトの商品なら売れるのか”をご自身の“失敗作”を主に解説する講師というのはなかなか珍しいのではないでしょうか?あまりにも似た商品、奇をてらいすぎたネーミング…などなど、ヒット商品を生み出している加藤氏が私と同じような失敗をしたり、悩んでいたなんて驚きです。でもそこは加藤氏。なぜ、このデザインは何故だめだったのかちゃんと解明して次へと活かしていらっしゃる。失敗を素直に受け止め、理由を探ってみることの大切さを改めて感じました。
初日の午後から行われる実践は、初めての体験なので、グループ分けの前から緊張気味でした。ところがいきなり「では、グループに分かれて、時間もないのでお昼(お弁当)を食べながら自己紹介をして下さい。」にはビックリ!訳も分からずのはじまりはじまり…。お陰でずっとテンション上がりっぱなしでしたが、翌日にはボードを作成して、プレゼンしなくてはならないので、恥ずかしがっている時間なんて無い状態。しかしそれはそれで良かったのかもしれません…。
私たちのグループは全員が地方出身の、情緒あふれる計5人。企画段階では、アイデア話で盛り上がって本当にこれで良いのか検討の繰り返し。ネーミングは一人10個以上出し合っての話し合い、デザインだって(間に合わなくて)翌朝、各々が作ってきたものから話し合いでまとめるという方法。特に担当分けをしていなかったので、納期を考えると効率が悪かったかなと思います。でも振り返ってみると、全員で全ての行程をじっくりやるって基本的なことで、それをこんな短時間でしっかりやろうとした(やった?)ってすごいことだと思うのです。投票結果でビリだった時はさすがにショック(笑)でしたが、加藤氏に高く評価していただいてメンバー全員、救われる思いでした。
他のグループ作品もとても面白く、しっかりまとめてあって、非常に素晴らしかったです。実質1日しかなかったのにスゴイ。「良い物を作ろう」っていう気持ちが成せる技ですね。他人のアイデアの良いところを褒めることから始まる物作り。目指す方向がそれないように注意しながら進めるのは非常に難しいものですが、そうしてできた商品デザインには愛着もひとしおです。そしてその思いは自然をプレゼンにも現れることも知りました。大変でしたが充実していた2日間。その後の懇親会で加藤氏が言っていましたが、「一生懸命、楽しむことだよ。」ってこのことなのかも。
他社のみんなともまた会える日を楽しみにしています。
 
●株式会社アド・クリエーター
 染谷 美苗
 「元気塾、初参加!」


今回は加藤さんの講義、演習とあって、会社からもぜひ行った方がいいと言われ、まだ会員ではないですが初めて参加させていただきました。演習はグループでの作業。もちろん初めてお会いする人ばかり。かなりの緊張…。
けれども、さすがクリエーターの集まり。課題を出されていろいろな角度の意見が交わされていきます。私の緊張も次第にほぐれ、加藤さんの「人」の「間」(つまり人間)の見えない関係という話をまさに演習で体感した気がしました。商品ができるまでというのはチーム作業。様々な人間関係の中でディスカッションしながら進めていく加藤さんの仕事の方法はとても整理されていて、私にとってとても新鮮でした。行き詰まってしまった私達チームを何度か軌道修正もしていただき、ディレクションする人の重要さも直に感じることができました。これはお人柄というのもかなり大きいかなと思いますが(^v^)。それと他のデザイナーさん達の仕事の進め方、デザインまでの運び方など私のいたCチームをはじめ、他チームの発表を聞いてとても勉強になりました。会社だけでは世界が狭くなってしまうので、これからもチャンスがあればどんどん参加していきたいと思います。
 
●花王株式会社
 パッケージ作成部
 仲間 典子


サントリーの加藤氏の、実際の成功例、失敗例のお話はとても勉強になりました。
アートディレクターは何をしなければいけないのか。また、コンセプト制作から、ネーミング、アートディレクション、具体的なデザイン方針まで、専門が異なる様々なメンバーと、チームにより商品開発を行う方法。普段の自分の仕事ではなかなか実現できない事です。
また、演習においてのグループ作業は考えていたよりも難しく、自分の考えを相手に伝える事、自分とは異なる考えを持った人を理解する事が難しいという事を痛感いたしました。チームでの作業の利点は、自分のせまい考え方だけでなく、集まった人数分の価値観で、色々なアイデアが出て、思ってもいなかった意見や考えを聞くことができ、新鮮であり、新しい発見ができ、共感でき、良いものが生まれ、さらに発展させる事ができる事にあります。
これが新しい価値を創造する事につながります。与えられた制約の中で、共感できるものを、新しい価値を提案するのがデザインである事を学びました。
今後、この経験を業務にも生かしていきたいと思います。


Copyright © JAPAN PACKAGE DESIGN ASSOSIATION all rights reserved.