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第2回JPDAデザイン会議

川から学べ JPDAしまんと100人 デザイン会議

開催日:2017年11月10日(金)
会 場:新ロイヤルホテル四万十(高知県四万十市)
出席者数:112名

デザイン団体としてのクリエイティビティと公益社団法人としての公益性(あまねく人々と社会に貢献する)を追及する「JPDAデザイン会議」。会員が交流でき、面白くてためになる場を目指しての第2回が高知県四万十市で開催されました。テーマは「川から学べ」。四万十市の全面的な協力によって実現しました。
会議には四万十市長をはじめ、四万十市職員の方々や関係団体の方々も多数参加し、地域の再生についてデザインの視点から考えることにより、デザインが地域において果たすべき役割をリアルに考えるまたとない機会となりました。

今回のデザイン会議は、「本当の豊かさとはなにか」という根源的なテーマに迫るために、ローカルとグローバルという二つの視点から議論が構成されました。
登壇者は、当デザイン会議の実行委員長でもある梅原真さんと、JPDA理事長の加藤芳夫さん、二人がローカルとグローバルの各代表を担います。第一部ではそれぞれの視点からプレゼンテーションを、第二部ではトークバトルを展開しながら、本当の豊かさとはなにか、デザインに求められるものとはなにかを探っていきました。

■第1部 〈突っ込みトーク〉
1)ローカル to グローバル プレゼンテーター:梅原真氏(梅原デザイン事務所代表)
高知に拠点を置く梅原さんのお話は、森林率84%で平地がほとんどない高知県の自然、全長196キロに及ぶ四万十川、その川とともにある暮らしの紹介から始まりました。ここ数年は、この街でワークショップのメンバーたちと、「観光リピーターバッジ」や、エコバッグ、「リアリティのある移住・定住策」など、「ぎりぎりセーフのユーモア」のアイデアを出してきたとのこと。街のシンボルとしてマークをつくり、「川とともにいきるまちshimanto」としました。
梅原さん自身、四万十川中流域の十和村に2年間住み、地域振興の総合計画をつくってきたといい、地域にできた第三セクター・四万十ドラマとの取り組み、「しまんと地栗」のデザイン、古新聞を再生したエコバッグなど具体的な事例が紹介されました。
ローカルに徹し、ローカルに根付かせたさまざまな活動が、気がつくとグローバルへと繋がっていたことを、梅原さんのプレゼンテーションは鮮やかに伝えてくれました。

2)グローバル to ローカル プレゼンテーター:加藤芳夫氏(JPDA理事長)
サントリーで長くアートディレクター、クリエイティブディレクターとして活躍している加藤さんからは、自身が携わったBOSSのストーリー。BOSS誕生にはサントリー創業以来のブレンドの歴史、ブレンドする人の人間性が関係していると語ります。戦後のヒット商品オールドは、「だるま」「たぬき」などと呼ばれ、どこか人間のような愛称で親しまれてきて、BOSSにもつながっているといいます。
BOSS開発当時、サントリーは缶コーヒー市場で悪戦苦闘していました。当時のヘビーユーザーは、タクシーや長距離トラックの運転手さんや大工さんのように外で働く人が多く、束の間の休憩時間に缶コーヒーをちびちびと飲んで一息ついていた。そこで、仕事に誇りを持って働く男たちをターゲットに、長く付き合える相棒のようなコーヒーというコンセプトが生まれました。『働く男の相棒コーヒー』です。当時はまったく手探りの中、無我夢中でした。当時のコマーシャルを見ていると、かつてのウイスキーと同じように、人間的なものが強くにじみ出ているような気がすると振り返ります。BOSSは、デザインというより物語を提案していくような感じでつくられているとのことです。

■第2部 ローカル VS. グローバル トークバトル
梅原真氏/加藤芳夫氏/山内敏功氏(ビンデザインオフィス代表)

ここではグローバルを首都圏に置き換え、ローカルな地でどのような価値観を持てばいいのかを考えていければとの梅原さんの言葉を皮切りに、大量の資源を持たないローカルの土地柄、個性などをどう捉えるかでトークバトルがスタート。
愛媛・松山から今回のデザイン会議に参加しているデザイナーの山内敏功さんも加わり、白熱した議論が進みます。「徹底してやったローカルがグローバルになっていて、グローカル、グッド・ローカルになっている」と山内さんは語ります。

商品の本質がお客様とコミュニケーションできているか、行政も民間も経営資源としてデザインを認識する必要がある、などの話題にもおよび、ローカルもグローバルも共に本質を見抜き、どうビジュアライズするかが肝要であることに変わりなし、と示唆に富んだ会議となりました。

●天神橋アーケードの大交流会
懇親会が開催されたのはアーケードの通路に畳を敷き詰めて設営された百畳敷き。四万十市と関係団体の方々の協力で、地酒や地元の食を味わいながら、2時間半にわたり、JPDA会員と地元の方々がひとつになって心行くまで話に興じました。

翌日は実際に四万十川を体験するオプショナルスタディ「川から学べ」。佐田の沈下橋を渡り、屋形船で川を流れる体験。さらに砂浜美術館にも足を運びました。

担当委員会:国内交流委員会・西日本委員会

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