Vol.2 オランダレポート・2 

オランダ通信と銘打っておきながら、いきなり申しわけありませんが、9月8日から12日までアイルランド、ダブリンで開かれたATypIという書体デザイン、タイポグラフィーのコンファレンスに参加してきました。年に一度行われるイベントに世界中から書体デザイナーやタイポグラファー等が集い、100本以上のプレゼンテーションやワークショップが行われるイベントです。私はもう一つの大きなタイプコンファレンスには参加したことがありましたが、ATypIは今回が初めてです。プレゼンテーションでは最近話題のWebフォントや、アイルランドの書体デザイン、フォント制作のワークショップなど書体デザイン、タイポグラフィに関する、深く内容の濃いプレゼンテーションが盛りだくさんです。

▲ダブリン国際空港のサイン。緑がアイルランド語、白が英語の二カ国語併記です。大きさに優劣は無く色によって分けられているのが印象的です。

ランチやディナーの時間は自由に席に座り、隣り合った人同士でお互いの国のデザインの情報交換をしたり、書体デザインの仕事や、最新技術について等いろいろと会話が交わされます。たまたま私が隣りになった方の中に国連から来られている方がいて、多言語で印刷物を制作したり情報を配信する際のタイポグラフィーについて2年に一度は参加していると聞いて驚きました。ATypIではラテンアルファベットの話が中心でしたが、グローバルな情報社会や交流が世界的に進むにつれ多言語の必要性が高まり、アラブ圏やアジアからの参加者も年々多くなっています。

▲メイン会場になったダブリン城(上)。敷地内にある約400人ほど収容するメインコンファレンスルーム(下)。もう一つの第2会場は100人ほど収容し、二つの会場で並行して行われます。

プログラムはプレゼンテーションだけでなく街の看板、サインを見て回るタイプウォークや、国立印刷博物館に行って古い活版鋳造機や印刷機の実演等をみる見学ツアー等もあります。休憩時間にはアイルランドに古くから伝わる『ケルトの書』と言われる写本を展示した美術館に行ったり、近くの教会や博物館で聖書を見たりと文字のデザインにどっぷり浸かれる5日間です。

▲3日目の夜に開催されたNational Print Museum(国立印刷博物館)への見学ツアー。National Print Museumの建物(上)と参加者でにぎわう館内。古い活字鋳造機や印刷機等の実演を見ることができ、活字鋳造機で名前を活字として鋳込んでもらいました。

▲The Book of Kells:ケルズの書というアイルランド国宝の8世紀頃の写本を見学にトリニティーカレッジ博物館へ。

▲少し文字と離れて近くの教会でステンドグラス鑑賞。

実はこのコンファレンスの開催期間中に学校の授業が始まってしまったのですが、さすがは書体デザインコース、学校の授業を休んでこのコンファレンスに参加することを許してくれます。しかし翌日からはすぐに学校に行かなければならず、フライトの関係でコンファレンスの最終プログラム前にオランダに戻らなければなりませんでした。次回のATypIは、アイスランド、レイキャビクで2011年9月に開催予定です。

▲休憩時間に街に出て散策。ショップの看板や広告を見て回るだけでも楽しい。

 

(2010年12月)