Vol.3 オランダレポート・3

留学している書体デザインコースは日本の大学院にあたり、9月から翌年7月上旬までの約10ヶ月間です。前期と後期に分かれ、月曜日から金曜日までの午前と午後にレッスンがあります。前期は基礎的な実習を中心にして、筆やペンを使って文字の骨格を学ぶことからはじまり、筆記用具によって変わる文字の形の違いを学んだり、石に文字を彫ったり、古い本を手に入れて書体を復刻するプロジェクトや、Pythonというプログラム言語を用いて、書体制作に応用する技術などを学びます。中には講義もありますが基本的に手を動かして習得して行くことが中心で、各レッスンで課題が出され、翌週に講評を受けることを繰り返します。 授業は生徒が世界から集まっているインターナショナルコースなので、英語で行われます。プロジェクターを使ってプレゼンテーションを行うことがたびたびあり、英語に苦労しながら準備をし、何度も練習をして備えます。

授業の中には美術館や図書館へ古い写本や書体のデザイン、ブックデザインを見に行ったり、書体関連の講演会などにハーグ市内の施設や、アムステルダムなどに出掛けます。海外に来て良いなと思うことのひとつは、数百年前の書籍や写本の実物を見ることができ写真を撮ったりできることです。欧文の資料はやはり現地に行ってみる方が豊富な資料に接することができます。

▲オランダ王立芸術アカデミー・ハーグの外観。欧州では一番古い芸術アカデミーだそうです。

▲クラス内に作業用の長テーブルがあり、そこにクラス全員が集まって課題のディスカッションをします。これは箇条書きされたデザインの特徴(レシピ)をもとに、文字デザインをスケッチに落とし込んで行く授業です。

▲レターカービング(石彫り)のオリエンテーションとして、街に繰り出し古い碑文や看板などを見て回ります。街全体がいい教材になっています。

▲(左)レターカービングの授業では最初は基本的な文字の構成要素が含まれる「R」を彫ります。(右)レターカービングの授業風景。

▲アイデアスケッチや筆を使って文字を書いたり、手で書いたものをデジタル化し、どのように形に落とし込んで行くかなどを学びます。(左)オランダでクリスマスに贈られる習慣があるというチョコレートレターのためのアイデアスケッチ。(中)平筆を使って描いた文字。(右)ハイコントラスト、ローコントラスト等の違いをアウトラインデータに落とし込む演習。

授業が終わって皆でバーに行ったり、パーティーをやったりと、よく遊んでよく学ぶ、忙しくも充実した学校生活を楽しんでいます。

 

(2011年3月)