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Vol.24 Single, Straight and Available.

一般によく知られていることではありますが、ニューヨークシティーはゲイのメッカです。例えば女友達の誰かが、「私、彼ができたの〜」などと発言するとしましょう。友人達の反応は、「どんな人?」でも「日本人?」でもなく、「一体どうやって知り合ったのか?」です。この街でSingle(独身)でStraight(ゲイでなく)かつ Available(今つきあっている人がいない)な男性を探し出すのは至難のワザ。私の周りにもボーイフレンド募集中の女性がたくさんいますが、それと同じくらいゲイの男性もたくさんいます。つまりこのゲイピ−プルがゲイでなかったとしたら、需要と供給のバランスが取れ、ニューヨークシティーは恋人達でいっぱいの、ラブラブハッピーな街になるはずなのです。

オカマにくっついている女性は日本ではおこげですが(というか、この言葉はまだ存在するのか?)、英語ではFag Hagといいます。そして私もそのFag Hagの一人。いつも私に優しい隣人のジェームスも、仲良しのスティーブンも、友人のリチャードもジョンもデイビッドも、み〜んなゲイ。時々行く和食のお店では、オーナーもゲイならウェイター達もゲイ。いつも行く近所の洗濯屋もゲイ。うちの会社の社長などはもっと欲張りで、バイセクシャル(という噂)。

私は80年代にニューヨークの大学に留学してましたが、その時以来の友人であるケイシーもゲイ。ケイシーは二十代半ばという結構な年になってから、両親と一緒に韓国からアメリカに移民しました。そしてニューヨークに来て初めて、自分がゲイだということに気付いたそう。「ソウルにいた時はもちろん女の子とデイトしたけど、なんかしっくりこなくって。ここに来て自分がゲイって解って、やっと僕の青春が始ったんだ」という超遅咲き組。ケーシーはハーマンという長年のパートナーと一緒に暮らしていて、今でもとっても幸せそうです。

ところで何年か前、うちの会社のレセプションデスクに、ジェナイという女の子が座っていました。黒人とプエルトリコの混血で、褐色系のとってもきれいな女の子でした。褐色系特有のスレンダーなボディーに、細く長〜い手足。顔は小さく、目は大きなアーモンド型。そしてその小さな顔の下には、顔より大きい胸が、バンッ!バンッ!と勢いよくくっついていました。このジェナイの胸の谷間に、クライアントの目が釘付けになってしまうこともしばしば。いちどだけ、彼女と一緒に街を歩いたことがありますが、とにかく男性の視線がすごい。「オトコが振り返るというのは、こういうことをいうのか!」とひたすら感心そして感動。まあそのくらいきれいな女の子だったのです。しかし一年もしないうちに、「兄と一緒にペンシルバニアで暮らす」という理由で辞めてしまったので、あまり親しくなるチャンスはありませんでした。

先日会社で皆と雑誌をめくっていたら、大きなバストのアップの写真がでてきました。
「そういえば、ジェナイってどうしているんだろうね〜」
などと私がいうと、同僚のレベッカは笑いながら、
「今、私も同じこと考えてた」
「きれいな子だったよね〜」
という私にレベッカは、
「ねえあなた、あの子がレズビアンって知っていた?」
えー、あんなきれいな子がレズビアン!?
「うそー、もったいなーい、もったいないよ、ねえもったいなくなあい?」
とバカのように、ひたすら驚く私。
「驚いたでしょう?驚くわよね。私だって最初はビックリよ、え〜、なんでまたって」
「でも何でそんなこと知ってたの?」
「だって面接の時に持ってきた履歴書の前職が、ニューヨークゲイレズビアン協会だったんだもん。へえ〜って思っていたらジェナイの方からある日突然、『自分はレズビアンなんだ』って打ち明けてきたの」
それを聞いて一緒に街を歩いた時の男性の視線、そしてそんなものにはまったく興味が無さそうにスタスタ歩く、彼女の姿が思い出されました。問題はゲイだけではなかったのだ。ああ、なんて複雑な街。

(2005年2月)