Vol.26 ボケ日本人
私はこの二年ほど、全く日本に帰っていません。というか、私のビザの事情でアメリカから出れないのです。この事情を説明しだすと、私の涙と怒りが収まらなくなるので省きますが、要するに9.11以降グリーンカードの発給が遅れていて、私だけでなくこうしてみ〜んな待っているわけです。ということで、私にあいたい人は来ていただくしか方法がなく、去年今年と友人が結構尋ねてきてくれました。
「お土産何がいい?」ってきかれても、食べるものは日本スーパーがあちこちにあって不自由はしていないし、紀伊国屋はあるしブックオフはあるしで思いつかない。だいたい私は間食するという習慣が皆無に等しいので、せっかくお菓子を持ってきてもらっても、一年くらいキッチンにあったりするのです。結局無難なところでみんな雑誌などを持ってきてくれますが、さすがにこれだけ日本を離れていると、雑誌を見たところで何がなんだかよくわからない(その雑誌自体を知らなかったりすることもある)。こうして最近、ボケ老人ならぬ、ボケ日本人の私。
雑誌を開くとまず思うのが、「なぜみんなあんなに金髪なのか?」ということ。私の友人でFITというアートスクールで教えている人がいて、彼も「日本人の留学生って、なんで髪が金髪だったりオレンジだったりするの?」と私に答えを求めるのですが、「流行なんじゃない」と答えるしかない。「でも、眉毛が黒くてヘンじゃない?」とさらに追求されますが、そんなこと言われたって私にだって奇妙にしか見えないし。「だってアンタ日本人じゃない」そういわれても、私もうここに八年もいます...
雑誌に出ている人も、ヤフーの芸能ニュースによくでてくるエビちゃんという人と、土屋アンナという人はさすがに認知できましたが、後の人はよくわからないので、結局雑誌を運んできた友人にレクチャーを受けることになります。ニューヨークにいる日本人のほとんどは、ケーブルで日本の番組を見ているらしいので、普通の人は私よりもっと知っていると思いますが、残念ながら私は元々テレビ嫌いなのでケーブルもなく、したがって日本の番組も見ていない。そうそう、表参道ヒルズって出来たんですってね(遅い?ごめん)。私は日本で働いていた会社が原宿だったので、同潤会アパートがなくなったなんてかなりショック。
この私のボケ日本人ぶりは、スポーツ界にも及びます。去年のクリスマスに、ワールドクラッシックベースボールのチケットをプレゼントされて、今年の三月サンディエゴで行われた準決勝と決勝戦に行きました。が、ジャパンチームで私が知っている人と言えば、イチロー、オーツカ、松坂、王監督、香取ピッチングコーチだけ。そしてここでも、「何でみんな金髪なの?」と言う疑問が頭から離れない。一緒に行ったアメリカ人の連れ合いも、「おいおい、なんかみんな日本のアニメのキャラクターみたいじゃん」「私もそう思う」そして彼は「こら〜、お前らメジャーに来たかったら、髪切って金髪禁止!」と叫んだのでした。
二年前までは、有休とクリスマスのお正月を全部つなげて、一年に一回日本に三週間ほど帰り、家に着くととりあえずコンビニに直行して新商品をチェックしたり、雑誌を読んだり、そして「今年の芸能界のダイジェスト版」と称し、紅白歌合戦を見ていた私。ビザの発給が急に早くなるわけないから、私は後一年くらい足止め状態。そして私のボケ日本人症状も、ますます進むのでしょう。そしてしみじみ、「日本は移り変わりの早い国だ」と思うのです。
(2006年7月) |