Vol.29 New York Refugees
さて、こうして無事コレクションは火事から助かったものの、この日から私のニューヨーク難民ライフがスタートしました。まず初日、寝る場所を失った私と連れは、火事で焼けなかった方のテナントさんたちから、「家のリビングでよかったら」という、親切な申し入れを受けました。が、連れには深刻な猫アレルギーがあり、テナントのほとんどは猫を飼っている...レッドクロスに連絡して宿を探してもらおうとしても、ラチがあかない。そしてニューヨークのホテルはバカ高い。
夕方近くになって、猫を飼っていない上の階の仲良しのスティーブンから、「アンタたち、今夜はうちに泊まんなさい。アタシは(彼はオカマなのだ)友達のうちに泊るから、アタシのベッドで寝なさいよ。シーツ新しくしてあげる」という、ありがた〜いお言葉。「俺は他で寝るから、心配するな」という男気と、「シーツ代えてあげるわッ」という女性的な配慮の、絶妙なコンビネーション。ありがとう、スティーブン。
こうして、なんとか寝る場所は確保。しかし、彼の部屋はオカマの部屋らしく、やたら男のヌード写真だの、ドローイングだの(彼はアーティストでもある)が貼ってある。ストレートの男である連れには、酷な体験だったかもしれない。が、彼も相当に疲れていたので、「妙な気分だ」を連発しながらも、安らかな眠りについたのでした。
翌日から私達には、しなければいけないことが山積み。まず、焼けたバスルームの撤去作業の立ち会い、クリーニング業者が来た時の立ち会い、めちゃくちゃになった部屋から、必要なもの貴重品を探して、他のテナントのうちに預かってもらう、市のハウジングオフィスの視察を待つ、などなど。しかし何より大切なのは、仮住まいの確保、いくらスティーブンが親切でも、ずっとお邪魔するわけにもいかないし、友人の部屋を転々とする生活も落ち着かない。とりあえずは、この突然の不幸を友人知人に知らせ、どこかに長期泊れるところは無いかと、メイルで問い合わせ。
すると数時間後ケイタイに、フォトグラファーの友人から、「お〜、何か大変なことになっちまったんだって?Call me!」、というメッセージが。そうだ、そういえば彼は、長期イタリアに行くって言ってたっけ。コールバックすると、「三日後にイタリアに行くから、明日から来なよ」という、信じられないグッドタイミング。こうして彼のだだっ広い超豪華ロフトに、二ヶ月くらい滞在できることになり、ひとまず人んちのリビングルーム住まいは回避どころか、日常を上回るゴージャス避難生活。しかしこの後長期に渡る、オーナー、管理会社との戦いが始まるのです。
(2007年8月) |