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JPDA海外デザイン事情視察ツアー2016 アメリカ西海岸

視察日程:平成28年11月5日(土)〜13日(日)
視察場所:アメリカ西海岸(サンフランシスコ、ポートランド)
参加人数:27名

今回の視察は、世界を動かすシリコンバレーやスタートアップ企業が集まるクリエイティブな街サンフランシスコと全米で一番住みたい街に選ばれているポートランドです。

5日の夕方、サンフランシスコへ到着し早速、懇親会ディナーへ。視察最終日にチームに分かれてワークショップをするためチーム毎でテーブルを囲み親睦を深めました。6日は自由散策。SF MOMAやテヤング博物館でアートに、ケーブルカーで市内の名所巡り、ホールフーズなどのスーパー視察、とそれぞれに充実した一日を過ごしました。

7日はまずゴールデンゲートブリッジを眺め、近くにあるディズニーファミリーミュージアムへ。アメリカで最も偉大なクリエーターの一人であるウォルトディズニーの運命的な生涯とその作品からディズニーランド構想まで圧巻の展示でした。ミュージアムから歩いて最初の訪問先Studio Hinrichsへ。長年デザイナーとして活躍されたKit氏は世界中で講演をされており、プレゼンは作品とその作品に連動させてデザインの心構えを説くという構成。長年Kit氏を支えてきた室賀さんの日本語サポートもありKit氏の心暖まる語り口は先生のようで貴重な教えをいただきました。

次はHatchへ。ディレクターBonnieさん、ファウンダーJoel氏、そして日本人のユージーン氏が私たちを歓迎してくださいました。”craft”を大切に誇りを持ったクリエイティブを楽しげに紹介する彼らはグローバルブランドを数多く成功へと導いています。アンティークをこよなく愛するJoel氏により社内はアンティーク家具が多い素敵な環境でした。 8日はバスで一時間かけてシリコンバレーへ。まずはApple本社にあるアップルストア見学。世界でこのストアにしかないTシャツやボールペンまでもが品質良く、Appleのモノづくり精神を感じました。

次にGoogle本社を訪問。Campusと呼ばれる広大な敷地の移動はグーグル色の自転車で。6面大型モニターのグーグルマップ、随所に見えるアンドロイド、著名人が来ると必ずアテンドするという社員のボードなど、Googleワールドを満喫。ランチを兼ねてスタンフォード大学へ。世界でも有数の若い頭脳が集まる校内はとても広く清潔感があり、学生たちは自由と快活さに満ちあふれていました。

最後はスタンフォード大学近くにある“デザイン思考”を生み出したIDEOを訪問。パートナーDavid氏とデザイナーAndrew氏による社内をツアーしながらのプレゼン。プロトタイプを素早く・集中して・多く・作ることが大切だ、などIDEO独自のメソッドを紹介するプレゼンは目からウロコな気付きが詰まった“デザイン思考”そのもので参加者はメモを取る手が止まりませんでした。(森記) 9日は出版社TEN SPEED PRESSから。バイクを扱った書籍で100万部のヒットを出し、最近では1,000万部を越える書籍も出版。アメリカで料理本はギフト需要が高くキッチンやリビングにある料理本を見て家人のセンスを見るとのこと。「ありのままの料理の姿を見せる」をコンセプトにしながら、魅せる加飾にも凝った料理本を多数出版していました。ランチと視察を兼ねて様々な流行を生み出しているミッション地区へ。世界の有名レストランが愛する陶器ブランドHeath Ceramicsなどを見学。

次の訪問先はfuseproject。インダストリアルデザインとブランディングの会社です。14カ国80人のディレクター、デザイナーが働く同社はハーマンミラーの家具やチェアからテクノロジー、ファッションと幅広く、プロダクトからパッケージ、広告までトータルでデザイン。エントランスにある大きなスペースを一般解放しており様々なジャンルの作品が展示されるそうです。

サンフランシスコ最後の訪問先は日本出身のBrandon氏が経営するbtrax。北米進出する日本企業にスタートアップ手法を提供するサービスが主体。プレゼン中の「いま求められているのは初見の美しさより、使い続けて価値が上がるデザイン」という言葉が印象的でした。btraxでは、もう一人プレゼン。先ほどの訪問先fuseprojectで11年働き独立された枝廣さんから。2004年に渡米しfuseprojectでハーマンミラーのセイルチェアを筆頭に様々なデザインを手掛けてきた枝廣さんから刺激を受け、とても有意義で学びの多い一日でした。(山口記) 10日早朝サンフランシスコからポートランドへ。今回の視察の新しい試みがここポートランド地元探索のワークショップでした。デザイン事務所を訪ねて話を聞くのも刺激的で得る物は多いのですが、全米で一番住みたい街ポートランドをデザイナーとしてどう感じたかをレポートするもので、チームに分かれての発表でした。今話題のクラフトビールや第四のコーヒーの本場という事で、数々のブリュワリーやレストランを訪問しての最終日。午前中に各チームが独自の計画に沿ってリサーチ。資料や写真をまとめて夕方プレゼン、という慌ただしいスケジュールで、老若男女入り交じったチームでどんな内容が発表されるのか、どのように取り組むかを心配したのですが、若い人たちを中心に各チーム個性を発揮したプレゼンが行われました。

世界的人気のエースホテルをデザインから掘り下げた貴重な写真のレポート、レンタサイクルで街を走り動画で紹介するリアルポートランド、Theアメリカンスタイルのペンデルトン工場見学、ポートランド生活の魅力がリサイクル意識の高さに基づいていることを実例紹介、と多彩でどれも濃密な報告でした。発表の場所を提供してくださったHand eye supplyのElic氏は半透明の手作りトレーラーを事務所にしており、古いもの、手作りの物の大事さ、コミュニティの持つ意味を実感させるものでした。ワークショップ終了後、丁寧に静かな語り口で各チームに対してコメントしてくださり誠に充実した時間となりました。

モノのあふれた時代に本当の豊かさや今後のデザインの方向を考えるポートランド訪問でした。(藤田記)

担当委員会:国際交流委員会
担当理事:江藤正典、永田麻美、藤田 隆、森 孝幹

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