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ニッポンの特産品・パッケージデザイン

ニッポンの特産品よもやま話

委員が綴る特産品とパッケージのあんな話、こんな話

“ご当地レトルトカレー・パッケージデザイン考” その3)顔が見える系

前回、一次産品を大きく扱った「ドドーン!系」のいくつかを見てきました。商品に注目してもらうための手法として活用されています。ご当地レトルトカレーは、地域やチャネル限定で販売されるものが多く、出会ったその場で購入してもらう必要があります。競合商品は同じカテゴリーだけではなく、例えば旅の記念やおみやげとして買う場合は、お菓子や他の加工食品、あるいは工芸品などさまざまなモノを見比べ、お財布と相談しながら、ということではないでしょうか。ご当地レトルトカレーのファンは、過去に購入した日本中の商品と比較しつつ、面白そうか、美味しそうか、コスパはどうか、などなど比較しながら購入を検討します。そうは言っても勢いで買っているのが実情かもしれません。
さて、原料・素材とは別の要素でインパクトを出す手法のひとつに今回ご紹介する「顔面ドドーン!」などがあります。

*商品名の次はパッケージ裏面に表示されている販売者名または製造者名です。(法人格省略)
*参考価格は、時期、場所で異なる場合があるので、ご承知おきください。(特に記載がない場合、税込み価格)
*画像をクリックすると拡大表示されます。

■顔面ドドーン!
例えば広告では人物を大きく登場させて人の目を引き付け、キャッチコピーや本文へ誘導するという手法が使われます。パッケージでは、商品にもよりますがイラストやキャラクターとして使われることが多いようです。(海外のブランドでは人物写真を入れたパッケージデザインも結構目にしますね)
ここでは、イラスト化した人物を配したパッケージをご紹介します。

◆鳥取
琴浦あごカツカレー
あぶい蒲鉾(鳥取県琴浦町)
参考価格:756円
http://www.abuikamaboko.com/

実は筆者がご当地レトルトカレー・パッケージデザインにのめり込んでいったきっかけが、このデザインでした。当地では「あごが落ちるほど美味い」から「あご」と呼ばれるトビウオ、それをイラストで表現、人物の表情がなんともいいがたいインパクトです。トビあがる人物など細部にもご注目。実際にあごカツが入っていますよ。

◆神奈川
横濱カレー
エクスポート(神奈川県横浜市)
参考価格:432円
http://www.xport.jp/

「ペルリ」と書いてありますね。横浜港が2009年に開港150周年を迎えたのを記念して、ペリーの顔をデザインしたパッケージが登場したそうです。歴史的人物や地元の有名人など、その土地に縁のある人物は、いろいろな活用方法があります。
このパッケージ、側面や裏面にはトランプ(大統領ではなくカードの方)のキングがアイコンとして配されています。(通常版パッケージにはクイーンも登場)

◆京都
おつけもんとカレーどす。
愛京家倶楽部(京都府京都市)
参考価格:540円
http://tanisho.jp(谷商店)

伏し目がちの舞子さんをモダンなイメージで表現。白地が効いています。カレーには福神漬けという方も多いと思いますが、京都らしくしば漬が小袋でついています。裏面には舞妓さんの後ろ姿と「京女は、甘ったれたらあきまへん!カレーは、しば漬とお食べやす。」のコピーも。外箱の賞味期限表示は、期限の短いしば漬けの日付が優先されています。

◆石川
金澤べっぴんカレー
アトラス(石川県小松市)
参考価格:540円
https://www.isico.or.jp/itcloud/sites/2441/index.html

「女子のための金沢カレー」。実は金沢カレーにはいろいろなタイプがあるそうです。人物イラストがそんなに大きくなくても、人の顔には目がいってしまうもの。お目々ぱっちりの着物女子、べっぴんかどうか、カレーの味と同じく好みは人それぞれかも・・・あっ、べっぴんはカレーのことですね。「石川ブランド認定」という表示も気になります。石川県の認定制度です。

「顔面ドドーン!」は、イラストで人物の顔を表現するので個性豊かです。筆者が特に興味を惹かれるのは、デザイナーはなぜこの顔のイラストにしたのか、その発想の源は何か、どのようなプロセスでこのデザイン決定に至ったのか、といったところです。当事者の苦労に想いを馳せながら、勝手に妄想するのも楽しいものです。意外なヒントが見つかることもあります。
続いては、顔は顔でもドドーン!とは出さない「顔の見える系」です。

■顔の見える系
スーパーの野菜売り場などでは、生産者の顔と名前をPOPや包装で訴求することもありますね。いわゆる「ご当店カレー」は店主やシェフの個性を打ち出して表面に人物写真が出てくるものもありますが、ここでは原料・素材である一次産品生産者の「顔の見える系」を中心にご紹介しましょう。

◆岩手
佐助おじいさんのまごころカレー
久慈ファーム(岩手県二戸市)
参考価格:648円
http://www.sasukebuta.co.jp/

子豚を抱え、何ともいえない表情で遠くを見つめるおじいさん。小さく「おじいさんのまごごろをどうぞお召し上がりください。」のコピー。裏面を見ると、岩手県北部の折爪岳(おりつめだけ)の山ふところで、昭和29年に豚の飼育を始めたおじいさんのこととか。創業者の名にちなんだ「折爪三元豚・佐助」をブランド化しています。

◆富山
氷見牛カレー
柿里(富山県氷見市)
参考価格:756円
http://www.kakizato.co.jp/

「生産農家のみなさん」、笑顔の集合写真。ブランド牛のカレーでも前回の「お肉ドドーン!」とは違ったアプローチです。販売者の柿里は、富山県内でステーキや懐石料理のお店を展開するレストラン。このレトルトカレーでは生産者を打ち出しています。(裏面には店内の写真あり) 別にまかないカレーもレトルト化していて、こちらは表面にお店の写真を載せてアピール。ゲットせねば。

◆長野
上野さんちのつぶつぶコーンと野菜のカレー
虎岩旬菜園(長野県飯田市)
参考価格:538円
http://www.syunsaien.com/

この商品は、東京にある長野県のアンテナショップ「銀座NAGANO」で見つけました。珍しく表も裏も横向きデザイン。家族写真横には「信州の山あいに、家族4人で住んでいます。」 カレーや野菜の味以上に、どんな家族か興味がわいてサイトを見てみました。東京出身のご夫婦が、縁あって飯田で新規就農、子供たちは飯田生まれで、、、つづきはウェブで!

◆大阪
なにわの女将の牛すじカレー
大阪女将会(大阪府大阪市)
参考価格:540円
https://www.facebook.com/osakaokamikai/

温泉旅館の女将さんそろい踏み。「顔の見える系」の中でもシェフ系の一種というべきですね。裏面には別カットの集合写真があり「食いだおれ大阪の女将が4人集まっておいしい「牛すじカレー」ができましてん ~中略~ お味は女将が太鼓判!!!」 牛すじの他に使用している泉州たまねぎは「大阪産(もん)」、左上に大阪府が商標権を有するロゴマークが表示されています。

「顔の見える系」に登場する人たちには、それぞれのストーリーがありますね。
ご当地レトルトカレーをアンテナショップで購入したり、お土産でもらうという場合、現地に行っていないので、どうしてもパッケージに書かれている情報が全てということになります。限られたスペースのパッケージに記載のストーリーで共感を得るためには、コピーの力も重要です。興味を持ってもらえればサイトへの誘導も可能です。

■TOPICS
その2で「よこすかカレーフェスティバル2017の全国ご当地カレーグランプリで、黒部ダムカレー推進協議会【黒部ダムカレー】が優勝」とご紹介しました。調べてみるとダムカレーは全国あちこちにあります。
「相模ダム建設70周年記念 第4回ダムマニア展」(会場:神奈川県立相模湖交流センター・アートギャラリー、会期:2017年7月17日~7月30日)では、ダムカレーの数々が展示されているという情報を得て、早速行ってきました。
配布されていた「ダムカレーマップ」によると、日本ダムカレー協会が2017年6月30日までに確認したダムカレーは全国に99基あり、そのおよそ3分の1、34基のサンプルが展示されていました。(その後、確認されたものもあり、2017年7月24日時点で120基以上とのこと)


日本ダムカレー協会のサイトでは、「ダムカレーとは」「ダムカレー年表」「ダムカレーマップ」など興味深い記事が掲載されています。
>>> 日本ダムカレー協会

(記:中越 出)

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