Japanese English
ニッポンの特産品・パッケージデザイン

ニッポンの特産品よもやま話

委員が綴る特産品とパッケージのあんな話、こんな話

“ご当地レトルトカレー・パッケージデザイン考” その4)郷土料理系

ご当地レトルトカレーのデザインは、郷土色がどのように表現されているかを詳しく見るのも楽しみです。デザイン表現というよりも、商品開発コンセプトとして郷土料理や郷土の食材をカレーにしたものも多くみられ、一次産品活用と同時にご当地レトルトカレーの王道ともいえます。郷土料理は、その土地の長い歴史の中で根付いたものもあれば、地域活性化策として特産の一次産品を活用して新たなメニューを開発するといった比較的新しいものとがあります。前回その3)でご紹介した「琴浦あごカツカレー」のあごカツは、その後者でご当地グルメとしての定着を狙ったものといえます。
まずは、一次産品を加工した郷土色豊かな食材を使ったレトルトカレーのいろいろ。

*商品名の次はパッケージ裏面に表示されている販売者名または製造者名です。(法人格省略)
*参考価格は、時期、場所で異なる場合があるので、ご承知おきください。(特に記載がない場合、税込み価格)
*画像をクリックすると拡大表示されます。

■郷土の食材
旬には大量に収穫できる一次産品をどう保存するか、先人はさまざまな知恵や経験でよりおいしい食材を発明してきました。漬ける、干す、発酵させる、煮込むなど伝統的な保存技術に、レトルトという包装技術、そしてカレーという食材と組み合わさって、さらに新しいメニューが生み出されています。

◆茨城
ほしいもカレー
常陸農業協同組合(茨城県常陸太田市)
参考価格:540円
http://www.ja-hitachi.jp/contents/tokusanhin/

茨城はほしいもの名産地、その中でもJA常陸は国内産ほしいもの9割を生産しているそうです。ほしいもカレーでは、原料食材が写真で出てくるかと思えばさにあらず、かわいいほしいもキャラクターが登場して商品をアピールしています。左下はお辞儀ポーズ。甘みのある食材とカレーの組み合わせには、根強いファンがいるようです。

◆茨城
水戸納豆カレー
だるま食品(茨城県水戸市)
参考価格:540円
http://www.darumanatto.jp

納豆屋さんによる納豆好きのための納豆カレー。こちらは萌え系キャラクターで迫ります。なんでも2010年に水戸で開かれたコミックマーケットを記念した商品で、イラストは漫画家の介錯先生。萌え好きと納豆好きとカレー好きのハートをわしづかみ(?) この会社、納豆の可能性を探るべく、水戸納豆ラーメン、水戸納豆餃子、わらに包んだわらチョコ納豆(デザインは佐藤卓氏)なども商品化しています。

◆長野
えのき氷カレー
芋川糀店(長野県中野市)
参考価格:500円
http://www.kitashinanomiso.com

右上円内の茶色がかった物体は、テレビ番組などでも取り上げられた「えのき氷」。裏面に「エノキダケをミキサーでペースト状にして煮出して凍らせたもの」との説明。伝統的な食材というより、近年開発されたエノキダケの活用法だそうです。長野県のJA中野が「えのき氷」の商標を保有している旨、表右下に表示されていますね。なかなかの情報量のデザイン、写真以外にきのこのシンボルはいくつあるでしょうか?

◆兵庫
神戸長田名物 牛すじぼっかけカレー
エム・シーシー食品(兵庫県神戸市)
参考価格:486円
http://www.mccfoods.co.jp/domestic/017.html

「神戸長田名物」とエリアを限定!「神戸 新長田区商店街とMCCとの共同開発!」とのこと。ぼっかけは、牛すじとこんにゃくを甘辛く煮込んだ下町の味、お好み焼き、焼きそば、そばめしなどで人気の具。調べてみると、うどんにぶっかける「ぼっかけうどん」が言葉の始まりとの説があります。ダイナミックな動きの玉のれん、昭和ムードの母娘(特に髪型)が強烈な印象。内容量の4分の1は、後乗せの牛すじぼっかけ!

食材がどの地域でどのような人たちに受け継がれてきたか、その歴史との関係で、おのずとデザインの打ち出し方も変わってきますね。精進料理として知られる湯葉は、京都のほか、日光や身延山でもカレーになっていますが、この原稿執筆時点では京都以外はまだ入手できておりません。カレーに仕立てた時にどのような違いがあるか(中身もパッケージも)興味が湧きます。現地に行かずともネット通販で買えるものの、現物パッケージを手に取ってから購入という自ら課したルールを守り、現物感(手触りや重量感、光沢などなど)を大事にしたいと思っています。

■郷土料理がカレーに
カレーの具に郷土の食材を使うのはわかりやすいのですが、メニューとして完成している郷土料理をカレーと合体させるという荒業?!も多く、あの手この手のご当地レトルトカレーが登場してきます。具が豪勢なのも楽しみです。

◆山形
いも煮カレー
後藤屋(山形県高畠町)
参考価格:648円
http://www.gotouya.jp

東北の秋の風物詩といえば、芋煮会。中でも山形は「日本一の芋煮会」もあって有名ですね。「いも煮の具材を使用した まかない料理 和風カレー」というコピーがあります。芋はもちろん里芋。カレーライスの奥には芋煮の鍋の写真。いも煮カレーうどんにしてもおいしそうです。紅葉が秋を感じさせます。

◆栃木
宇都宮野菜餃子カレー
宮島醤油 宇都宮工場(栃木県宇都宮市)
参考価格:777円
http://www.miyajima-soy.co.jp

画面いっぱいの筆文字が印象的。餃子の街・宇都宮では、「日本で唯一の”餃子”協同組合」宇都宮餃子会が、「宇都宮餃子」の商標を取得。承認商標マークがついていますね。その下に「電子レンジ専用」の表示。中にはカレーソースと餃子の袋が入っており、それぞれをレンジでチン。レトルトパウチには電子レンジ対応の透明蒸着バリアフィルムが使われていて、蒸気も自動で抜けるようになっています。
*開発ストーリーはこちら >>> 事業者事例集

◆山梨
ほうとうカレー
ROOTS(ありが桃園)(山梨県甲州市)
参考価格:648円

カレーうどんやカレーそばがあるから、カレーほうとうがあるのも当然。しかし、これは「ほうとうカレー」、ご飯にかけて食べるもの。横から見たカットと高いアングルからのツインカット! ロゴの下に「~二日目のほうとう風~」とあります。右中程に「よ~く揉んでからたべてね!」 中のしおりに書いてあるとおり「力強く30回揉んで」みたら、麺も具もとろけていい感じになりました。

◆愛知
みそかつカレー
まるや八丁味噌(愛知県岡崎市)
参考価格:650円
http://www.8miso.co.jp/

味噌カツ+カツカレーか、味噌カレー+トンカツか? 下部の英文が ”Hatcho Miso curry with pork cutlet” なので、後者なのでしょう。いずれにしても本場・岡崎の八丁味噌とカレーとトンカツが渾然一体となったメニューです。以前この商品を見つけた時、新旧デザインのパッケージが両方並んでいて(切替時期にはよくある)、こういう時コレクターは賞味期限から判断して旧デザインと思しき方を買います。(二度と手に入らないから。表示画像は新デザイン)

◆宮崎
みやざきチキン南蛮カレー
ばあちゃん本舗(宮崎県都城市)
参考価格:1000円
http://www.bachan-honpo.jp/

レトルトカレーにしては大き目のトップオープン式組立箱、それもそのはずチキン南蛮そのもの、専用の甘酢とタルタルソースも入っているから。カレーは県産豚のキーマカレー。公認マークがついています。みやざきチキン南蛮カレー協議会の公認商品! 協議会のサイトを見ると、宮崎市から都城市を結ぶ国道269号線で協議会参加店舗の多くが集まるエリアを「チキン南蛮カレー街道」と名付けているそうです。

郷土色あふれる食材や料理が、日持ちのするレトルトカレーになっていると、お土産にもぴったりですね。既に知名度の高いご当地食品だけでなく、カレーにして話題作り、町おこしを盛り上げるというケースもあるようです。 次回は郷土の伝統芸(芸能・工芸)、地場産業などにスポットを当てます。

(記:中越 出)

最近の記事