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ニッポンの特産品・パッケージデザイン

ニッポンの特産品よもやま話

委員が綴る特産品とパッケージのあんな話、こんな話

“ご当地レトルトカレー・パッケージデザイン考”
その5)伝統芸&地場産業系

いろいろと見ていると、地域の伝統芸能や伝統工芸(合わせて「伝統芸」と勝手に略している)を題材にしたレトルトカレーの系統も幾つか見受けられます。また、その土地の地場産業や関連した物語から生まれてくるものもあり、興味は尽きません。

*商品名の次はパッケージ裏面に表示されている販売者名または製造者名です。(法人格省略)
*参考価格は、時期、場所で異なる場合があるので、ご承知おきください。(特に記載がない場合、税込み価格)
*画像をクリックすると拡大表示されます。

■伝統芸能系
ご当地レトルトカレーに限らず、土地の名を冠した商品のパッケージをデザインする場合、その土地らしさを打ち出すために様々なモチーフを探します。名所旧跡などのほか、有名なお祭りや伝統芸能などもその一つです。レトルトカレーのパッケージに使われているいくつかを見てみましょう。

◆徳島
阿波ポークカレー
スマイルミート(徳島県美馬市)
参考価格:648円

徳島といえば阿波踊りですね。有名なフレーズとともに踊る姿が線画で描かれています。阿波の「阿」の字の中にも踊りのシルエットがあるのに気がつきましたか? 手前の花は、徳島県花のすだちの花(と裏面に説明あり)。阿波ポークは、徳島県で生産されているブランド豚で、裏面に生産者の顔写真が載っています。

◆埼玉
秩父小鹿野町 歌舞伎カレー
ふるさと両神(埼玉県小鹿野町)
参考価格:580円
http://www.furusatoryokami.co.jp

地域に伝わる歌舞伎を打ち出したもの。裏面の説明によると、およそ200年の歴史がある小鹿野歌舞伎は、埼玉県無形民族文化財に指定されていて、「役者・義太夫・裏方にいたるまで、スタッフのすべてが地元衆」とのこと。元帝国ホテルシェフ監修による、プロの味の小鹿野町まちおこしカレー。表面には歌舞伎の写真の他に観光スポットが2か所、独特のデザインになっています。

◆京都
かれぇどすえ
丸長食品(滋賀県大津市)
参考価格:500円
www.otsukemono.jp

日本髪・和服姿のお妓さん方をフューチャーし、ひらがなで「かれぇどすえ」。京都花街の一つ、宮川町の芸妓組合が監修した和風カレーです。裏面では、京おどり(4月)、五花街合同公演(5月)、みずゑ會(10月)といった舞の公演を写真付きで紹介しています。表の写真は、2016年の京おどりのポスターから。ディテールを見るのが習慣化してきた諸氏は、左下のアルファベット表記の一工夫にもお気づきでしょう。

■伝統工芸系
その地域独特の工芸品もデザインのモチーフとして使われることがあります。日本磁器発祥の地といわれる佐賀県の有田、伊万里のご当地レトルトカレーを見つけましたので、ご紹介しましょう。

◆佐賀
有田焼カレー
プレアデス (創ギャラリーおおた)(佐賀県有田町)
参考価格:810円
http://aritayakicurry.com

筆者が「有田焼カレー」に最初に出会ったのは駅弁祭り、有田焼の器に入った焼カレー。その後も器(白地に藍の柄)はご当地レトルトカレーを毎朝食べるのに重宝しています。九州の駅弁グランプリで1位に輝いた有田焼カレーをレトルト化。(有田焼の器は付いていません) ロゴは箔押し、有田と焼の間で行替えされているので、どこで区切るのかよくわかりますね。(箱側面は一行で表示。駅弁も同じ箇所で行替え。)

◆佐賀
伊万里グリーンカレー
伊万里市農業協同組合(佐賀県伊万里市)
参考価格:620円
http://jaimari.saga-ja.jp/information/news/000173.html

発売初期のデザインにはなかった「ダブル受賞」の表示でずいぶん隠れてしまっていますが、背景には伊万里焼のお皿の文様、ブルーが印象的です。規格外で出荷できない特産の小葱を、もったいない精神でタイ風のグリーンカレーに仕立てたとのこと。他にも伊万里市の特産農産物がいろいろ使われていて、第二回食品産業もったいない大賞の審査委員長賞も受賞。(これは裏面に書かれています)

■近代地場産業系
伝統工芸も大きく括ると地場産業系ではありますが、歴史が古いもの(有田焼は400年の歴史!)。近代になって繁栄した地場産業を訴求したトルトカレーも幾つかありました。

◆福岡
鉄の街 黒鉄カレー
リエゾン 四季のさら(福岡県北九州市)
参考価格:864円
https://store.shopping.yahoo.co.jp/liaison-ec/

製鉄で栄えた北九州のご当地カレー。黒々としたパッケージに、煙を吐く製鉄所のシルエット。中身はもちろんブラックカレー。左上に表示の「北九いいと」は、北九州市が中心となって、市内の食品メーカーと開発を進めたオリジナルブランドで、菓子や調味料なども商品化されています。サイトには、赤いパッケージの「溶鉱炉カレー」なるものも! 気になります。
*開発ストーリーはこちら(溶鉱炉カレーも掲載しています)
 >>> 事業者事例集

◆福岡
ボタ山カレー
瑞兆(福岡県飯塚市)
参考価格:554円

九州が続きます。筑豊の炭鉱は有名ですね。石炭採掘時の捨石を積み上げたのがボタ山。ボタ山がフューチャーされていますが、コピーをよく読んでください。「陸上自衛隊 飯塚駐屯地」「食堂名物」と添えられています。さらに「全陸上自衛隊 初」(これはシール貼り)。駐屯地の食堂で人気のメニューをレトルト化したもので、中面、裏面に詳しい説明あり。数ある自衛隊レトルトカレーとしては異色のデザインです。

中面、裏面も気になりますよね。JPDA調査研究委員会のメンバーであるMDDクリエイティブ(東日本・法人会員)の協力を得て、サンプルの3D画像を作成しましたので、こちらもご覧ください。
 >>> 3D画像を表示(外部リンク)

◆群馬
富岡製糸場工女さんも愛したカレー
高田食堂(群馬県富岡市)
参考価格:380円
http://www.tomioka-silk.jp/shop/restaurant/detail/takada-syokudo.html

世界遺産・富岡製糸場が操業していたのは、明治5年から昭和62年まで。その近くにある高田食堂、「夜遅くまで働いていた工女さんたちは夜食にこのカレーを食べながら仕事に励んだそうです。」(裏面の説明) その食堂のカレーがお土産用のレトルトに。実はこの商品、6月の横須賀カレーフェスティバルの会場で手に入れたもの。後日、テレビの富岡特集で高田食堂を詳しく知った次第。

今回見てきたように、多様性の幅がとりわけ広いご当地レトルトカレーは、商品開発の動機やアプローチも様々。開発コンセプトを反映したデザイン表現となるので、カレーの美味しさ訴求よりも優先度の高いデザイン要素があるのも事実です。開発者の思いをあれこれ想像しながら、細部までくまなく見ていくのも楽しみの一つです。
当コーナーでは、この先、歴史物・戦国物など題材に特徴のあるものや、カレーのシズル表現などについても考察をしていく予定です。お楽しみに。

(記:中越 出)

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