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ニッポンの特産品・パッケージデザイン

ニッポンの特産品よもやま話

委員が綴る特産品とパッケージのあんな話、こんな話

“ご当地レトルトカレー・パッケージデザイン考”
その6)郷土の偉人・有名人系

前回は、伝統芸能や伝統工芸、地場産業などをテーマに取り上げました。ご当地レトルトカレーでは、郷土の偉人・有名人がモチーフになることもよくあります。歴史的人物にまつわる旧跡が観光資源になっているのも理由のひとつでしょう。地元の誇る偉人であっても、他の地域の人にはあまり知られていない、ややマニアックな人物が取り上げられることもあり、歴史好き、蘊蓄好きにはたまりません。

*商品名の次はパッケージ裏面に表示されている販売者名または製造者名です。(法人格省略)
*参考価格は、時期、場所で異なる場合があるので、ご承知おきください。(特に記載がない場合、税込み価格)
*画像をクリックすると拡大表示されます。

■郷土の有名人~幕末から昭和
歴史的人物は土地との結びつきが深いものの、出身地であったり、活躍をした地であったり、複数の異なる土地で有名なこともありますね。まずは、幕末から昭和を見てみましょう。

◆神奈川
龍馬と海舟の幕末牛鍋カレー
ヤチヨ(神奈川県横須賀市)
参考価格:540円
http://yachiyo-gr.com/curry/

よこすか海軍カレーを多く発売している会社の、ちょっとひねりの利いたレトルトカレー。幕末の海軍といえば勝海舟。坂本龍馬は江戸で海舟に出会い、弟子入りを志願します。この商品は、カレーと幕末の食文化である「牛鍋」をコンセプトに開発されたとのこと。厳密にいうとご当地モノというより歴史モノ。二人の肖像とともに描かれている船は咸臨丸です。

◆宮崎
海軍医カレー
高岡町の魅力発信・名産品開発プロジェクト(宮崎県宮崎市)
参考価格:1180円

こちらも海軍関連、といっても明治時代の海軍で軍医総監を務めた高木兼寛博士。「ビタミンの父」とあります。裏面の解説によると、宮崎生まれの高木博士は、イギリス留学後、脚気の予防法を確立。海軍の食事にカレーを取り入れ、後にビタミンの発見につながったそうです。東京慈恵会医科大学(博士が創立した成医会講習所が源流)の西新橋キャンパスには高木会館があり、売店でこのカレーを手に入れました。

◆北海道
クラーク先生のカレー
昴珈琲店(北海道札幌市)
参考価格:864円
http://subarucoffee.shop-pro.jp/

札幌時計台訪問時に見つけました。裏面には有名な銅像の写真と「生徒ハ米飯ヲ食スベカラズ。但シ、ライスカレイハコノ限リニアラズ」の文。学生の体格が小さいことを心配し、パン食を推進したクラーク博士は、米食の中で唯一カレーは認めたそうです。札幌農学校の寮食ではカレーが隔日で提供されていたとのこと。

◆新潟
五十六カレー
ホテルニューオータニ長岡
(新潟県長岡市)
参考価格:越後舞茸入り 648円
     越後の牛肉入り 756円
http://www.nagaoka-newotani.co.jp/restaurant/
original.html

時代はずっと下ります。越後長岡出身の山本五十六元帥が航空隊の副長だった頃、将校たちに辛口カレーを食べさせていたという逸話をもとに、ホテルニューオータニ長岡のシェフが地元の食材を使ってカレーに。旧海軍で愛された味がベース。筆者は新潟県のアンテナショップで見つけたこのカレーで山本五十六が長岡出身と知った次第。

■レトルトカレー戦国時代
これだけ多様な商品が群雄割拠していて、ご当地レトルトカレーもまさに戦国時代。その戦国時代を生きたサムライに因んだ商品も各地から出ていて、中には「戦国」を冠した商品もあります。(諸般の事情でパッケージデザインをご紹介できず)

◆和歌山
真田赤兜カレー
カレー革命Wakayama(和歌山県和歌山市)
参考価格:648円

上州に生まれ、和歌山・九度山で隠棲したのち、大坂夏の陣で生涯を終えた真田幸村(信繁)。赤備えの真田家(武田家、井伊家も有名)を象徴する赤兜には、例の「六文銭」。カレーには九度山町の特産・富有柿に紀州うめどりなど和歌山県の特産品が使われています。紀州うめどりは、梅干しづくりの副産物・梅酢をエサに加えたブランド鶏肉とのこと。

ドラマや映画に取り上げられる歴史上の人物では、ゆかりのある地への観光や関連商品の開発・販売など経済効果も大きいものがありますね。近年ヒットしたアニメ作品では、物語の舞台となった「聖地巡礼」も話題になりました。

◆静岡
直虎カレー
グランドホテル浜松(静岡県浜松市)
参考価格:700円
https://www.grandhotel.jp/hamamatsu/

井伊直虎にちなんだレトルトカレーもいくつか出ており、これはホテルの総料理長が監修して開発されたもの。井伊家家紋の由来である橘になぞらえ、地元特産の三ケ日蜜柑ピールパウダーも使われています。器の金縁がホテルらしさを醸し出しています。実際にホテルのレストランで使われている器だそうです。「出世手形」という文字も気になります。

◆静岡
出世城カレー 赤の直虎
ユアブレイン(静岡県浜松市)
参考価格:562円
http://shussejo.jp

目力のあるイラストですね。井伊直虎の赤備え“赤”をテーマに、浜松産トマトと赤ワインを使ったカレー。出世城とは浜松城のことで、徳川家康はじめ代々の城主が出世を成したので、そう呼ばれるようになったとか。出世城カレーには、鰻エキスとブラックペッパーを使った「黒の家康」というのもありましたが、期間限定商品で既に終売、入手できず、残念!

◆静岡
家康くんカレー
LaLaカレー・ジャパン(静岡県浜松市)
参考価格:550円
http://lalacurry.com/

中央右の「家康くん」は浜松市のご当地キャラクターで、はままつ市「福」市長。左は「うなち」、うなぎの栄養分で育てたサツマイモ「うなぎいも」のキャラクター。葵の御紋、ピアノの鍵盤、浜松城、飛行機やヘリも散りばめられていますね。よく見ると「浜松基地隊員食堂名物」の文字も。航空自衛隊の教育中心地・浜松基地で若き隊員のために開発されたメニューとか。

戦国武将には、それぞれの人物を象徴する逸話やモチーフがあります。また、家紋も欠かせない要素のひとつ。「家康くんカレー」は、そのものズバリの名前でメニュー化されているカレーをレトルトにしたものなので、他とはアプローチが少々違います。 大河ドラマ関係では、番組とのコラボで商品が出ることもありますが、期間限定の販売なので、もはや手に入らないものもあります。しかも現地でしか販売されていないこともあり、マニアは気が抜けません。今回ご紹介した中で浜松ものが複数あるのには訳があります。次のTOPICSをご覧ください。

■TOPICS
気が抜けないご当地レトルトカレーマニアは、期間限定・地域限定の商品を手に入れるべく現地に赴きます。まだまだと思っているうちに大河ドラマは大団円を迎え、大河ドラマ館も閉館間近に迫った2017年暮れの浜松訪問記。(訪問日:2017年12月23日)
「女城主直虎 大河ドラマ館」は、浜名湖の北側、天竜浜名湖鉄道の気賀駅近くで約1年間オープン、駅や周辺は幕や幟で盛り上げています。気賀駅前から龍潭寺へは期間限定で直通バスも運行していて便利。ですが、よりによって龍潭寺休館期間に行ってしまう。拝観はできなかったものの境内の一部を歩くことはできました。浜松駅近くでは、「浜松出世の館」が2018年1月31日までオープン。ドラマや登場人物に関する展示、観光案内、グッズ・お土産品販売コーナーなどがあります。今回紹介したものとは別の直虎カレーもゲットしました! 駅周辺のお土産店や地元百貨店も覗くと、県内県外の珍しいご当地レトルトカレーが結構見つかるものです。旅先での買い物はつい財布の紐が緩んでしまいますね。


東京オリンピックが開催される2020年に浜松城は開基450周年を迎えます。2022年は三方ヶ原の戦いが450周年! 浜松商工会議所では、「家康・直虎 新商品開発プロジェクト」を立ち上げ、新商品開発の支援などを行っています。これまでに菓子・食品・グッズなどさまざまな商品が開発されています。
>>> 家康・直虎 新商品開発プロジェクト

(記:中越 出)

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