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【情報の森】よもやま話

調査研究委員会が取り組んできたテーマやパッケージ、
デザインについての、あんな気づき、こんな気づき

“ご当地レトルトカレー・パッケージデザイン考” 
その8)続・シズル表現あれこれ

前回、持ち上げだけで終わってしまいました。今回は盛り付けや小道具、背景の処理など演出を見ていきます。トータルコーディネートの表現のしかたで、どのような世界観を目指しているかが見てとれます。

*商品名の次はパッケージ裏面に表示されている販売者名または製造者名です。(法人格省略)
*参考価格は、時期、場所で異なる場合があるので、ご承知おきください。(特に記載がない場合、税込み価格)
*画像をクリックすると拡大表示されます。

■盛り付け・小道具・背景写真
シズル写真の主役は、料理そのもの。その主役を引き立てるのは、小道具や背景などの名脇役。(時に主役を食うほどの存在感を示す脇役というのもいますが) 主役のカレーは、ライスとどうからむか、盛り付け方もいろいろなものがあります。

◆熊本
ばってんこだわりカレー
千興ファーム(熊本県御船町)
参考価格:480円
http://www.senko-farm.com/

深めの器にカレーとライスと福神漬け、ライスの上にパセリの彩り、背景にはグリーンサラダ。カレーライスの王道といった組み合わせです。「カレーライスには、お冷にスプーンが定番でしょ」という方もいますが、それは昭和の食堂のイメージかも。さすがに「スプーン差し込みお冷」を小道具にするには度胸がいりますね。昭和レトロをコンセプトに押し出すならありかもしれませんが。

◆千葉
びわカレー
ちば南房総[道の駅とみうら枇杷倶楽部](千葉県南房総市)
参考価格:463円
http://www.biwakurabu.jp

道の駅とみうら枇杷倶楽部の「びわカレー」、リニューアルを経て、より洗練されたデザインになっています。ライスをドーナツ状に盛って、カレーをかける。レストランで提供されているメニューをレトルト化する際は、パッケージでもその状態を再現するのが基本ですね。奥はソフトフォーカスにして背景の白地になじませています。

◆千葉
潮風と大地のレタスカレー
OPA[オーピイエイ](千葉県館山市)
参考価格:500円
http://opavillage.com/

こちらもドーナツ状に盛ったライス、かかっているのはグリーンのカレー。地元産の神戸(かんべ)レタスのピューレ、千葉県産ゆで落花生、千葉県産いもぶたが入ったカレーです。奥のレタスの写真で素材をアピール。素材強調の演出にはさまざまな方法がありますね。ちなみに千葉県では、ゆで落花生はなじみのある食べ方です。(元千葉県民は語る)

◆北海道
どろぶたラクレットカレー
ハッピネスデーリィ(北海道池田町)
参考価格:648円
http://happiness-dairy.com/

素材のラクレットチーズが大きな面積を占めていますね。それもそのはず、このチーズを生産している牧場が開発したレトルトカレーだから。他にもプリン、チョコレートなどが商品化されていて、このピンクがかった赤がブランドカラーになっています。なお「どろぶた」は、「ランチョ・エルパソの放牧豚牧場のオリジナルブランド豚」とのことです。

◆広島
牡蠣カレー
広島県漁業協同組合連合会(広島県広島市)
参考価格:540円
http://www.hs-gyoren.jp/

素材の牡蠣のアップ写真と風景を背景に縦組みのロゴタイプ(箔押し風カラー印刷)。陶器の器、持ち上げの木製スプーンの質感とあいまって和を感じさせます。シズル写真、素材写真、風景写真は、ご当地レトルトカレーの写真三羽ガラスともいわれ(?)、さまざまなレイアウトで組み合わされて使われることがあります。

◆滋賀
ルンダンカレー
メリーデイズ English Gardenローザンベリー多和田(滋賀県米原市)
参考価格:734円
http://www.rb-tawada.com/

米原駅から車で15分ほどの地に広がるイングリッシュガーデン。併設のレストランで提供されているオリジナルカレーをレトルト化。取手付きカップ、スプーンやマットの質感・色彩がナチュラル感を表現していますね。ルンダンは、ココナッツミルクとスパイスで煮込んだインドネシアの郷土料理で、スマトラ島パダン料理の代表格です。(元ジャカルタ駐在員は語る)

◆北海道
富良野ブラックカレー
ふらの農業協同組合(北海道富良野市)
参考価格:410円
http://www.ja-furano.or.jp/

両手鍋を大きく配置し、周囲には素材や調理道具。奥の背景はやや暗くして、スミぼかしでくくった白抜き文字。このシリーズには、他にもポーク、野菜があります。統一感のあるデザインが4種並ぶと面での訴求ができるので店頭効果がアップすると同時に選ぶ楽しみも出てきますね。

◆富山
富山ブラックカレー
広貫堂(富山県富山市)
参考価格:473円
www.rakuten.co.jp/koukandou/

もうひとつブラックカレー。こちらはカレー自体がかなりブラック、それもそのはず黒豆とイカスミのダブルブラックです。全体をダークにした中で筆文字の白抜きが生きています。シズル写真は持ち上げの一種、お皿にカレーを盛る瞬間。やや低めのアングルで面積が大きいわけでもないのに、しっかり主張しています。

ここまで見てきたように、打ち出したい世界観や雰囲気によって、使用する器、小道具(原料素材や調理器具など)が選択され、トータルな演出が行われています。ライスの盛り付けの工夫で立体感のある表現もありました。もちろんシズル写真だけではなく、ロゴタイプや色調、背景のパターンなどで全体の印象が決まります。

次回はカメラアングルに特徴のあるシズル写真、真俯瞰などを見ていきます。

■TOPICS
早いもので、このコラムを書き始めて既に1年。今年もよこすかカレーフェスティバルに行ってきました。2018年の全国ご当地カレーグランプリでは、”元祖とまこまいみそカレーラーメン”が優勝。ラーメンフェスティバルにあらず、カレーフェスティバルでの優勝、境界をまたがったカレーメニューです。準優勝は昨年優勝の”黒部ダムカレー”、カレーマスター賞は昨年に続き”北本トマトカレー”でした。この三者は昨年と同じで、優勝と準優勝が入れ替わっただけ。かと思ったら、昨年の準優勝とまこまいは ”元祖カレーラーメン”というあっさりしたネーミングでした。

(記:中越 出)

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