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Vol.94 「J-PlatPat検索の手引き(その1)基本

デザイン保護委員会では、「特許庁公報検索〈J-PlatPat〉」を使いこなすための知識をお伝えしてきましたが、2016年11月14日に実施しました検索実習のセミナーから、検索段階に入る前の予備知識として用語の説明等を記載した手引書のような資料の必要性を感じ、作成検討に入りました。

このたび、<公報検索自習用テキスト>としても役に立つ基礎知識をまとめましたので、本レポートから3回に分けて掲載していきます。気軽に公報検索をお試しいただけるきっかけにもなればと思います。 次回の公報検索実習セミナー(来年2月16日)に参加を検討される方には、セミナー当日の実習がよりスムーズに進むように、予習教材としてご利用いただけると幸いです。

掲載内容は下記になり、今回は「その1」をお届けします。
第1回 <予備知識と「意匠分類・Dターム」の説明>
第2回 <一般的な手順>
第3回 <昨年11/14セミナーの検索問題で実際の検索作業をしてみる>

(2017年9月7日 編集・文責:デザイン保護委員会 委員長 丸山和子)

◆このページに限らずVol.1~これまでに掲載した内容は著作権・他で保護されています。
  無断転用はお断りいたします。引用の場合は引用部分を明確にし、出所の明示をお願いいたします。

 情報発信 J-PlatPatの検索の手引き、その1 意匠制度の予備知識と意匠分類・Dターム
掲載資料作成:デザイン保護委員会委員 山本典弘 (弁理士)/検討・まとめ:デザイン保護委員会

J-PlatPat  は「特許情報プラットホーム」の愛称で、独立行政法人工業所有権情報・研修館が運営する無料の特許・実用新案・意匠・商標の検索サイトです。また、旧特許電子図書館(IPDL)を改良したものです。

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage

本原稿<その1>の目的
J-PlatPatの意匠検索を気軽に進められるように予備知識から解説します。

1.意匠法で作られる意匠権
意匠権の内容(客体といいます)である登録意匠は、概略すれば「物品の形態(形状、模様、色彩など)」になります。

(1)権利の内容
検索の便宜上、「物品(物品面)と形態(形態面)」に分けて見てみます。 以下に、J-PlatPatで表示される「意匠登録第1578425号」の「登録意匠情報」(一部)を以下に示します(図表1-1)。

図表1-1

右側(赤枠)に表示されるのが、登録意匠の「形態面」を表す代表図(斜視図)です。 下の「図面リスト番号」を変えると、正面図、背面図など、記載されている図面・写真などが順次表示されます。
左側に表示される文字情報が「書誌」と呼ばれています。 黒枠内を拡大したものを次に示します
(図表1-2)。

≪書誌≫

図表1-2

図表1-2、青枠で囲った「【意匠に係る物品】包装用箱」が「物品」(物品面)になります。
なお、この物品の記載は、正確に統一されているわけではなく、出願人が記載したとおり、そのままで登録になる場合も多々あります。なお、【意匠に係る物品】は、以下【物品】と省略します。

(2)権利の期間
また、この意匠権は、【登録日】平成29年5月12日 に発生し、この登録日から最大20年後(平成49年5月12日)まで権利が存続します。
また、この公報の発行により、【発行日】平成29年6月5日 に公知意匠となります。
したがって、平成29年6月5日以降に、「この容器と同一または類似の形態」の意匠登録出願があった場合には、その意匠登録出願は新規性無しで拒絶されます。

また、この出願は、フランスで出願された意匠に基づく優先権を主張して日本に出願されたものなので、条約により、日本国特許庁での新しいかどうかなどの審査は、日本に提出された【出願日】ではなく、【優先日】平成28年6月1日 を基準にして判断されました。

なお、国内出願の場合には、日本国特許庁に提出された【出願日】平成28年11月30日 を基準に、新しいかどうかなどの審査が行われることになります。

(3)権利の範囲 
意匠権は、「登録意匠」と同一(実質的に同一)な意匠だけでなく、「登録意匠に類似する意匠」の範囲にも効力が及び、この「同一または類似」の範囲で他人の無断実施(製造販売など)を排除できます。 逆に、自身が開発したデザインが他人の意匠権に触れることなく安全に実施(製造販売など)できるかどうかを考える場合には、登録意匠(意匠権)に類似しているかどうかをチェックする必要があります(※1)。
このような目的の場合、J-PlatPatでは、「登録意匠情報(=意匠権の範囲)」として検索をします
(図表1-3)。

図表1-3

また、自身が開発したデザインを、意匠登録出願をして登録を得ようとした場合、その「出願した意匠と同一の公知意匠」や「出願した意匠と類似した公知意匠」が存在すると登録になりません。意匠登録の要件(必要な条件)である、「新規性」が無いことになります。

また、その「出願した意匠」が公知意匠から容易に創作できるような場合にも登録になりません。これも意匠登録の要件である「創作非容易性」という条件を満たさない場合にあたり、「創作容易性」という用語で示されます。(※2)。

このような目的の場合には、J-PlatPatでは、「登録意匠情報(=公知意匠)」として、検索をします
(図表1-3)。
すなわち、「登録意匠情報」は、独占排他的な権利である意匠権の範囲を示す役割と、公知意匠を示す役割とがあることになります。

※1、※2は、JPDAウェブサイト「デザインの権利と保護」の下記ページに詳しく解説しています。
Vol.93「J-PlatPatを使いこなすための基礎知識・意匠の創作非容易性」 http://www.jpda.or.jp/rights_protection/vol-93
Vol.89「J-PlatPatを使いこなすための基礎知識・意匠検索のポイント」 http://www.jpda.or.jp/rights_protection/vol-89/
Vol.72「意匠法の『先願主義』とは?」
http://www.jpda.or.jp/rights_protection/vol-72/

2.意匠分類とDターム
意匠権は年間3万件くらい設定登録され、登録意匠情報が公開されます(意匠公報が発行されます)。J-PlatPatは、登録意匠情報のデータを検索するものです。登録意匠情報は、いわゆる「意匠公報」のデータと同じと考えてください。
したがって、意匠権の存続期間は、古いものは登録日から15年(2007年4月以降の出願分は登録日から20年)ですので、15年分のデータを検索するとしても検索対象データは60万件になります。 これを全部見ることは無理ですので、「意匠分類」「Dターム」で検索対象を絞って、検索をすることになります。

(1)「意匠分類」
「意匠分類」は、意匠を 「物品」、「形態」と区分すれば、「物品おおまかな形態」で特定した情報になります。
先ほどの登録第1548425号の登録意匠では、<F4-712→包装用容器(円柱型)>の区分が付与されています(上記の図表1-2参照)。

(2)「Dターム」
「意匠分類」を形状・模様の特徴などの要素でさらに細分化した情報になります。なお、先ほどの登録第1578425号の登録意匠では、<F4-712AF、F4-712BBB、F4-712G>の3つが付与されています(上記の図表1-2参照)。

このような、【物品】【意匠分類】【Dターム】と具体的な形態としての【図面】の関係をまとめると次の図表1-4のようになります。

図表1-4

(3)検索の範囲(新分類と旧分類)
意匠分類は、2005年(平成17年)1月1日以降に出願した分を、新分類(登録日は2005年の後半からになります)、2004年までを旧分類(登録日は2005年以降にもあります)となっています。
パッケージ関係は主に「F4」という意匠分類に属しますが(後に詳しく説明します)、このF4の意匠分類は新旧で大きく変わっています。したがって、存続している意匠権を全部検索する場合、新旧の両方にまたがるため、旧分類も検索する必要があり、15年遡る必要があります。
なお、おおづかみに最近の10年間だけ見れば良い検索では、新分類のみを考えれば良いことになります。

次の図表1-5の赤枠内の、「2.意匠公報テキスト検索」と「3.日本意匠分類・Dターム検索」として表示されているように、J-PlatPatの「意匠公報検索」では、2つのデータベースを使います (後で詳しく説明します)。

図表1-5

この場合、15年間遡る場合、「日本意匠分類・Dターム検索」では、新分類で最近の公報を検索した後で、新分類に対応する旧分類を自動的に変換する機能があり、この機能で旧分類に変換して再度古い方を検索することになります。
しかし、J-PlatPatの「意匠検索」の「意匠公報テキスト検索」では、旧分類への変換機能がありませんので、自分で、新分類に対応する旧分類を調べて、入力し直す必要があります。
新分類に対応する旧分類は、次に掲載する、図表1-6「分類表」の右端部分、図表1-7「定義カード」の1頁目タイトルの直ぐ下の赤字部分に、「対応する旧分類」と表示されています。

3.意匠分類、Dタームの情報の探し方(1)
検索の手順の理解のために、(1)必要な情報の説明、(2)必要な情報の入手方法、として順にお伝えします。

(1)必要な情報の説明
意匠分類、Dタームの情報には、「分類表」「定義カード」という二つの情報があります。
「分類表」は、その区分の概略と、属する「Dターム」が列挙されています。「分類表」の文字だけでは判別しにくいので、図面や写真も付けて具体的に解説した情報が「定義カード」になります。

以下、図表1-1、図表1-2の「意匠登録第1578425号」の意匠登録情報を見てみましょう。 この登録意匠の「意匠分類=F4-712」の「分類表」を図表1-6に、「定義カード」(分類の概要のみ)を図表1-7に表示します。
なお、「定義カード」は、図表1-7で表示しました「F4-712の分類の概要」に続き、F4-712A、F4-712AA、F4-712AB、・・・・と所属する各D-タームの「定義カード」が記載されています。 

≪分類表≫

図表1-6

≪定義カード≫

図表1-7

(2)分類表、定義カードの入手の方法
J-PlatPatの「意匠」にマウスポインタを移動すると、次の図表1-8の上側のウインドウのように、「1.意匠番号照会~7.外国分類リスト(特許庁HPへ)」が表示されます。

ここから「分類表」、「定義カード」を入手するために「日本意匠分類関連情報」の画面を表示させます。

≪日本意匠分類関連情報を表示させる方法1~3≫

図表1-8

図表1-8に示すように、表示のさせ方には3つの方法があります。
(方法1)「2.意匠公報テキスト検索」を選択して、この画面を表示し、右下の「(日本)分類リスト」を選択する。
(方法2)「3.日本意匠分類・Dターム検索」を選択して、この画面を表示し、右下の「(日本)分類リスト」を選択する。
(方法3)「6.分類リスト(特許庁HPへ)」を選択する。

このいずれかの方法で選択すると、次の「日本意匠分類関連情報」(図表1-9)が表示されます。

≪日本意匠分類関連情報≫

図表1-9

(3)「分類表」の入手
表示した図表1-9の上部に位置する赤枠内の「(1)日本意匠分類」から、「日本意匠分類(平成28年4月1日施行版)」を選び、表示します(図表1-10)。

図表1-10

次に、図表1-10の「日本意匠分類(平成28年4月1日施行版)」から、Fグループ(事務用品及び販売用品)の全体をダウンロードします。※F4単独のダウンロードはできません。 ダウンロードして保存おくと調査の際には便利です。

このファイルは、図表1-10のように、「目次」に続き、各分類が記載されています。
パッケージに密接な関連のある「F4」の分類は20頁目~28頁目ですので、少なくともこの頁は印刷しておくことをお勧めします。

(4)「定義カード」の入手
図表1-9「日本意匠分類関連情報」のページの、赤枠のすぐ下に記載されている「分類定義カード一覧」から必要な項目を選びます。今回、参照したいのは包装容器なので、Fグループを見ていき必要な情報を選び出します。

Fグループ(事務用品及び販売用品)のF0、F1、F2・・・毎にダウンロードできます。ただし、F4だけでも大容量(頁数で345頁)ですが、図表1-9で示した手順で「定義カード」を表示する時には、必ずダウンロードしなければなりませんので、予めダウンロードしてPDFファイルを保存しておくと便利です。
F4の全体が把握できるように、分類の全体(目次的な内容です)を図表1-11に表示しました。

≪F4の分類の全体(目次的な内容)≫

図表1-11

4.日本意匠分類、Dタームの情報の探し方(2)
上記の探し方(1)では、分類表、定義カードから直接、意匠分類・D タームを探す方法を説明しました。ここで説明する、探し方(2)では、何らかの情報から検索したいと思う意匠登録情報(意匠公報)を表示して、意匠登録情報(意匠公報)から図表 1-1、図表 1-2 のように、意匠分類、D タームを入手する方法です。

(1)「意匠公報テキスト検索」を選択
まず、J-PlatPatの「意匠」で「2.意匠公報テキスト検索」を選択します(図表1-12の上部)。

図表1-12

(2)検索項目
上の図表1-12の「検索項目で選択できるリスト」の中で、使用頻度の高い「検索項目」は、「意匠に係る物品」(一般名とは違う場合も多々あります)、「出願人/意匠権者」(容器メーカー名、商品のメーカー名など)、「創作者」(デザイナー名)、「登録番号」(パッケージなどに表示してある場合)、などが考えられます。

(3)検索の手順
①「検索項目」を指定して、「検索キーワード」を入力して
②「検索」を選択
③ヒット案件をサムネイル表示(1000件まで表示される)
④該当するものを選んで、その「意匠登録情報」を表示
J-PlatPatは、このようにして必要な情報を入手することができるシステムです。

次回「その2」は、今回の基礎知識を基に、J-PlatPatでの実際の意匠検索作業を「意匠公報テキスト検索」と「日本意匠検索・Dターム検索」で進めていきます。

 

デザイン保護委員会で実施した<J-PlatPatを使った公報検索実習体験セミナー(初心者対象)>の報告はJPDAウェブサイト委員会レポート「デザインの権利と保護」Vol.85、86でご覧いただけます。

http://www.jpda.or.jp/rights_protection/vol-85/
http://www.jpda.or.jp/rights_protection/vol-86/

以上

記事へのご質問・ご意見・ご要望等は下記アドレスで受け付けています。
MAIL:info@jpda.or.jp

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