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Vol.98「J-PlatPat検索の手引き<その3>検索問題を解く」

「特許庁公報検索〈J-PlatPat〉」を使いこなすための知識として、Vol.94<その1>、Vol.95<その2>と連続公開し、間が空きましたがVol.98<その3>は最終回となります。お届けしました「基本」「一般的な手順」からの知識を基に、本稿では、実際に2016年11月14日の検索セミナーで出された検索実習問題を使って解説しています。なお、セミナー当日は時間が無くこの検索実習問題は自宅復習となりました。本稿の解説は参考回答例としてもお使いください。
(※情報発信Aでは、検索実習体験セミナーの予告を掲載しています。)

・Vo.94「J-PlatPat検索の手引き(その1)基本」
http://www.jpda.or.jp/rights_protection/vol-94
J-PlataPatで検索をするための予備知識、「意匠分類表」「意匠定義カード」の入手の仕方と、
「意匠分類表」「意匠定義カード」から調査対象の「日本意匠分類」「Dターム」を探す方法を解説しています。

・Vo.95「J-PlatPat検索の手引き(その2)一般的な手順」
http://www.jpda.or.jp/rights_protection/vol-95
調査対象のデザイン(形態)を文字で表して、該当する「日本意匠分類」「Dターム」を決めて、
実際に検索する流れについて解説しました。

(2017年12月14日 編集・文責:デザイン保護委員会 委員長 丸山和子)

◆このページに限らずVol.1~これまでに掲載した内容は著作権・他で保護されています。 
無断転用はお断りいたします。引用の場合は引用部分を明確にし、出所の明示をお願いいたします。


情報発信A
セミナー予告
J-PlatPatの検索実習体験セミナー第2弾を2月16日(金)14:00~17:00に実施します。

このセミナーのために準備した<ボトルデザインの演習課題>を、講師と共に提案デザインに似ていそうな先行登録意匠を探していきます。そのため、操作実習希望者は無線LANによるインターネット接続可能なノートパソコンの持ち込みが必要となります。 ※また、見学だけの場合も、講師の進めるスクリーン画面から疑似体験として調査の手法を客観的に学べるプログラムになっていますので<見学枠>も準備します。
-セミナーのお知らせと申し込みのご案内は、本レポートページ次号の1月号に掲載します-

情報発信B&活動報告
J-PlatPatの検索の手引き、その3 昨年のセミナーの例題で実際に検索してみる
掲載資料作成:デザイン保護委員会委員 山本典弘 (弁理士)/検討・まとめ:デザイン保護委員会

-<2016/11/14のセミナーの自由検索課題を本稿のテーマとして、下記の条件の基に検索を進めます-

1.検索作業の前の準備

J-PlatPatで検索をするためには、物品面形態面を特定します。

(1)調査対象の物品名の特定
「物品名」自体をどう表記するかで調査内容が大きく変わるわけではありませんが、意匠分類を決める前に、大雑把に把握します。
開発現場では「ゲーベルトップ」「紙パック」等と呼ばれていると思います(後ほど、これでも検索してみます)。意匠法(意匠権)の世界では「包装用容器」と呼ばれます。

(2)形態の特徴の書き出し
①大雑把な特徴 「包装用容器で、直方体・縦長」と表現できます。慣れてくると、このような「日本意匠分類」に沿った特徴出しになります。
②詳細な特徴
問題文の図をそのまま採用して、特徴点に赤丸を入れてみます。

図表3-1

そうしますと、特徴は以下のA~Eになります。他の人に特徴を伝え、あるいは検索結果を整理する際に必要な作業です。ご自身の過去の創作の記憶などに基づき、主観的で結構ですので、特徴と思える事項を列挙します
A.四角柱(筒)の容器で、特に断面正方形である。
B.ゲーベルトップのカートンで、上端部(天板)は屋根型である。
C.4つの「縦の稜線」に全部、指掛けの小さな凹部がある。
D.対向する縦の稜線にそれぞれ3連の指掛け小さな凹部がある。
E.凹部は稜線の天井側(上部側)にある。(容器の底側ではなく)

(Vol.96「意匠の類否判断<形を言葉で表現してみよう>」も参照。)
http://www.jpda.or.jp/rights_protection/vol-96

(3)意匠区分、Dタームの検討
①まず、日本意匠分類がわからない物品の場合に、「2.意匠テキスト検索」で、先ほどのキーワード「ゲーベルトップ」「紙パック」を入れてみましょう。

図表3−2
図表3−3

上の図表3-3のように、検索項目を「意匠に係る物品」として、検索キーワードを「ゲーベルトップ」とし、「検索」をクリックします。図3-4のように、ヒット件数は「0件」です。

次ぎに、下の図表3-4のようにおなじ「検索項目」で「検索キーワード」に「紙パック」を入力して、「検索」をクリックすると「16件」ヒットしましたので、「一覧表示」をクリックします。

図表3-4

16件が代表図1枚でサムネイル表示されます(図表3-5)。
ここを見ると、「紙パックホルダ」「紙パック容器ケース」「分別紙パックはさみ」などが見られますが、紙パックそのものは出てきていません。検索1、2より、意匠登録の世界では、残念ながら検索対象のような容器の「物品名」を「紙パック」「ゲーベルトップ」とは表現していないことがわかります。

図表3-5

このように、ランダムに検索をして、該当する物品の公報を表示して、意匠分類やDタームを見つける作業を<当たりをつける作業>といいます。この問題では求める情報はヒットしませんでしたが、一般に、以下のような検索をします。
・「2.意匠テキスト検索」で「検索項目」を「意匠に係る物品」または、「意匠に係る物品の説明」に設定。
・「検索キーワード」を入れて、ヒットさせ、意匠分類やDターム情報を得ることができます。

②次ぎに、パッケージ(包装用容器)関係の物品の多くは「F4」という意匠分類に属しています。
このことがわかっていれば、F4の「分類表」「定義カード」から探すことができます。「分類表」「定義カード」の入手の仕方は、Vo.94「J-PlatPat検索の手引き(その1)基本」に記載してありますので、こちらを見てください。

なお、先のセミナーでは「F4-711 包装用容器(直方体型)。特に、F4-711G 縦長型」というヒントも出されていました。
前掲Vol.94の図表1-11を見ますと、「包装用かご」「包装用すだれ」「包装用袋」など特定のもの以外は「包装用容器」で大雑把な形状で、以下のように区分されていることがわかります。

F4-711直方体型、F4-712円柱型、F4-713カップ型、7140トレー型、F4-730細口突出型

調査対象は、直方体ですので、「F4-711」に属するだろうことがわかります。
意匠分類」は、1つの登録意匠で、1つしか付与されませんので、曖昧な形状の場合には、想定される複数の意匠分類を選択して検索をすることが望ましく、また、できましたら「定義カード」で「F4-711」に属する形状を確認した方がより、望ましいです。「定義カード」は分量が多く、「F4-711」だけで、51頁になります。
したがって、理想的には
(a)意匠分類F4-711の「定義カード」を確認する。
(b)他に該当しそうな意匠分類F4-710(包装用容器)の「定義カード」を確認する。F4-710は主に他に分類されない等の包装用容器が入ります。

③そうしますと、結論として、
(a)時間が無いなら、たぶんヒット件数が最も少ない次を検索します。
Dターム:F4-711G  包装用容器(直方体型) >縦長型
Dターム:F4-711H  包装用容器(直方体型) >上部屋根型
(b)もう少し増やしても、表示確認ができるなら(a)に加えて検索します。
Dターム:F4-710G  包装用容器 >縦長型
(c)広めに情報を得たい場合(時間がある場合、もれなく見たい場合)
意匠分類 F4-711・意匠分類 F4-710の全体となります。

なお、「2.意匠分類・Dターム」でのヒット件数は以下のようになります。現行の意匠分類のみですので、出願日で2005年(平成17年)1月以降の件数になります(検索日:2017/11/8)。

図表3-6

(4)意匠区分、Dタームの特定
①どこまで調査するかは、結局の所、対費用効果ですので(時間も含めて)、調査の目的から決めます。 仮に、「調査対象のデザインをこのまま進めて、問題となる登録意匠(意匠権)があるかどうかを最低限の範囲で調べる」という目的であれば、一応、意匠権の存続期間全体を見ておく必要があります。

意匠権の存続期間は登録日から20年間(2007年4月1日以降出願)又は15年間(2007年3月31日までの出願)ですので、現在(2017年11月20日)から15年前までの登録日まで遡ります。
意匠分類・Dタームは、調査対象のメインの分類と予想される「F4-711」(包装用容器(直方体型))の内、「F4-711G(縦長型)」「F4-711H(上部屋根型)と、「F4-710G」(包装用容器(縦長型))を見ることにします。

そうしますと、以下のようになります。
(調査期間)登録日:2002年11月1日(※)以降→そうすると旧分類を含みます。
(調査分類)Dタームで F4-711G、F4-711H、F4-710G
(現行分類の合計件数)621+92+585=1298件(図表3-7より)
※11月20日でも良いですが、切れ目良く11月1日としました。

②使用するデータベースは、旧分類もありますので「3.日本意匠分類・Dターム検索」が便利です。

2.検索作業の実施

(1)「3.日本意匠分類・Dターム検索」を使った検索

図表3−7

「意匠」から「3.日本意匠分類・Dターム検索」を選び検索を実施します(図表3-7)。
「3.日本意匠分類・Dターム検索」では、複数ターム(分類)の場合には、ハイフンを外して、「+」で結びますので、検索式に「F4711+F4710G」と入力して、検索をクリックします。
検索結果は1241件となり、表示できる件数1000件を越えますので(図表3-8)、検索オプションを使って、分割することにします。

日付系の条件で絞ります。検索オプションの「+」をクリックして開き、「登録日」を選択して、「20090101」(2009年1月1日)以降の登録を選びますと「863件」となり一覧表示が可能な数になります。表示件数の分割数を少なくする場合には、試行錯誤で実行して、1000件に近づけます。

図表3−8
図表3−9

(2)ヒット情報の表示(現行分類)
ヒットした情報を「一覧表示」で(図表3-9)、サムネイル表示をします(図表3-10)。

サムネイル表示では、50件ずつ表示されますので、「次の50件」を順次選択して、50件ずつ表示しながら合計18回表示することになります。

図表3−11

18番目の表示の確認が終わったら(登録日、2009年1月1日以降)、「入力画面」をクリックして(図表3-11)、残りの登録日(2009年1月1日まで)を入力して、「検索」を実行します。ヒット件数378件となりますので(1000件以下)、「一覧表示」を実行します(図表3-12)。

以下、同様に、「次の一覧」を実行しながら8回表示をします(図表3-11参照)。
これで、現行意匠分類の表示が終わったことになります。
20090101~最新 :863件
~20090101    :378件/合計1241件

図表3−12
図表3−13

(3)ヒット情報の表示(旧分類)
現行意匠分類(2007年4月1日以降の出願)での検索が終了した後に、旧分類(2007年3月31日までの出願)の検索を行います。
「入力画面」に戻って(図表3-13右側)、「現行→旧分類変換」(図表3-13左上)を実行すると、
分類指定:現行分類・Dターム→旧分類
検索式:「F4711G+F4711H+F4710G」→「[F450+・・・+F456]」
と自動的に旧分類に変更されます(図表3-13左下)。なお、検索式内の分類の表示に重複がありますが、OR(+)検索ですので支障ありません。

検索オプションで、当初設定した調査範囲「2002年11月1日」以降を「登録日」に入力します(図表3-14左上)。検索を実行すると1828件となり、表示可能件数1000件を下回るように登録日の範囲を決めます。新しい側の上限を「2004年1月1日」を設定して、検索すると621件となり、1000件を下回りましたので、現行分類の場合と同様に、「一覧表示」を実行して、ヒットした情報を確認します。
以下、同様に、登録日で区切りながら、最も新しい登録日まで表示します。


(4)一覧表示から必要な情報のチェック(現行・旧共通)
「一覧表示」で、調査対象との関係で、必要な情報が出てきた場合には、そのサムネイルをクリックします(図表3-15)。¥ここでは、「22.登録第1586469号」を表示します(図表3-16)。

図表3−15

表示した「22.登録第1586469号」で、代表図面だけで必要な情報か否かがよくわからない場合には、代表図面右側の矢印を実行して、全部で7枚の図面を順に表示することができます(図3-16)。

必要な情報の場合、印刷して残すか、あるいは「登録番号1586469」をメモしておきます。 ブラウザー(インターネットエクスプローラー)の印刷機能で印刷します。綺麗に印刷する為には、「文献単位PDF表示」を実行して(図表3-16)、表示して、印刷します。ただし、表示の度に四桁の数字を入力する必要があります。

検索の最中に必要な情報か否かをじっくり判断するより、入手した情報をあとで、較べて見直して必要な情報を選別した方が良いと思います。したがって、この段階では、あとで判断できる程度に図面などの情報が明らかであれば良いです(「登録番号」のメモだけでも良いと思います)。 検索が終了後に、本当に欲しい情報だけ、上記の「文献単位PDF表示」で印刷します。 また、表示した情報(=意匠権、登録意匠)が現在も存続しているかどうかは、「経過情報」をみれば確認できます(図表3-16)。

図表3−16

(5)文献蓄積情報の確認
新しい情報(=意匠公報)は、毎週月曜日に更新されます。 「入力画面」の右下の「文献蓄積情報」を実行すれば、蓄積内容が表示されます(図表3-17)。

図表3−17

赤枠「更新日付」の「2017/10/27」は「登録日」の表示です(図表3-17)。

3.検索結果の評価

以上のようにして、調査した結果は、表にすることで一覧性が確保できます。例えば、以下の図表3-18のようにまとめると、最初に考えた特徴との関係も整理できます。
図表3-18で「検索対象との関係」は大雑把に評価してありますが、このような評価は、知財部や法務部などの判断になると思われます。しかし、その前にご自身の判断を鍛える為に、検索されたご自身の評価を仮に書いてみることもおすすめします。

今回の検索による調査では、図表3-18の「検索対象との関係」で、「類似する評価=◎印」が付くような情報(先行登録意匠)は発見されなかったという結論が出せました。

図表3−18

JPlatPat 「日本意匠分類・Dターム検索」
検索日:2017/11/20
検索式:「F4711G+F4711H+F4710G」
旧分類変換
検索オプション 登録日:20021101~

以上

記事へのご質問・ご意見・ご要望等は下記アドレスで受け付けています。
MAIL:info@jpda.or.jp

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