JPDA学生賞2025
「日本パッケージデザイン学生賞2025」受賞者対象企業研修(関西編1日目)
2026年2月5日 JPDA学生コンペ委員会
2026年2月5日(木)、6日(金) 第四回となる学生パッケージデザインアワード【日本パッケージデザイン学生賞2025】を受賞した学生を対象に第四回企業研修を関東に続き、関西でも実施しました。1日目はクルツジャパン株式会社様、株式会社ミルボン様、大商硝子株式会社様、廣川ホールディングス株式会社様にご協力いただきました。あたたかく学生を迎えていただき、大変有意義な企業研修となりました。
■クルツジャパン株式会社様
企業研修レポート:小泉陽弥(香川大学/ JPDA学生賞2025 小原司賞)
クルツジャパン株式会社様での研修は、パッケージデザインを見る目を大きく変えてくれました。これまで私は箔は単に、「高級感を出すための装飾」だと思っていました。しかし実際は、PETフィルムやアルミ蒸着層など、いくつもの層からできた高度な技術のかたまりであり、色の出し方や質感の違いまで細かく設計されていると知りました。
また、チョコレートの包装や食品表示、家電のロゴなど、箔は私たちの身近なパッケージの中で重要な役割を果たしていました。光り方や触ったときの質感は、ブランドの印象そのものをつくる要素なのだと実感しました。
さらに、機械で加工しても最後は人の手で圧力を調整するという話から、パッケージは「工業製品」でありながら「職人の仕事」でもあると感じました。加えて、リサイクルの課題も含めて考えると、これからのパッケージデザインは見た目だけでなく、素材や環境まで考える責任があると学びました。この研修は、表面の美しさの裏にある技術と社会の仕組みを意識するきっかけになりました。
企業研修レポート:篠原寛幸(大阪成蹊大学/ JPDA学生賞2025 三原美奈子賞)
クルツジャパン株式会社様では、ホットスタンプと呼ばれる箔押し体験をさせていただきました。
箔には、様々な色やホログラム柄、見る角度によって色が変化するものなどの多種多様な種類があり、仕上がりを想像しながら自分好みの箔を選びました。実際に箔押しを体験してみると、箔の種類だけでなく、柄の向きや圧力のかけ方によって仕上がりが大きく変わることを知り、箔押しの奥深さを実感しました。また、箔は商品パッケージのみならず、化粧品の容器やお札の偽造防止、クレジットカードなど、幅広い用途で活かされていることを学び、これほど身近なものに使用されていることに大変驚きました。
箔押しは、通常の印刷では表現ができない光沢や独特の質感、凹凸による立体感を可能にする技術であると学びました。今回体験させていただいた貴重な経験を、今後の制作活動に活かしていきたいです。

■株式会社ミルボン様
企業研修レポート:近間莉咲子(金沢美術工芸大学/ JPDA学生賞2025 金賞)
株式会社ミルボン様の企業研修を経て、私は「コンセプトを売る」という理念に驚かされました。シャンプーやコンディショナーといった製品そのものの質や価値を売っていくのではなく、それらから生まれる「説得力のある概念」なのかなと感じました。ただの市場に売り出すのではなく美容室をターゲットに売り出していく方針も納得しました。コンセプトを形にしていくパッケージディレクターの日々の試行錯誤が少しだけわかった研修でした。また機会があればじっくり聞きたいと思える時間でした。
企業研修レポート:藤田華穂(香川大学/ JPDA学生賞2025 加藤真弘賞)
企業研修で株式会社ミルボン様を訪問し、これまであまり意識していなかったプロユース市場という顧客概念に触れました。美容師を通して商品を届けることで、専門的な知識や技術とともに商品の魅力がより深くお客様に伝わる仕組みが取られている点が印象的でした。美容師と共に商品をつくり上げていく姿勢からは、単に販売するのではなく、現場と一体となってブランド価値を高めていることが伝わりました。さらに、美容室の経営提案にまで携わっておられ、モノだけでなく「価値」を提供しているところにミルボン様ならではの強さを感じました。
研究開発の現場では、製品にとどまらず世界中の水の研究にまで及ぶ徹底さから、ヘアケアに対する高い熱量を感じました。また、デザイン部門では美しさだけでなく、コストや量産性を踏まえた現実的な判断が求められていることを知りました。どこの会社の技術を使うかなども、それぞれの会社の長所を把握したうえでの判断がなされていたりなど、「つぶれない会社を創る」というミルボン様の信念を感じました。
この研修では経営の面など、デザイン以外の分野でも勉強になることが多かったです。長期的に成長し続ける企業基盤の強さを学びました。

■大商硝子株式会社様
企業研修レポート:室井こころ(専門学校桑沢デザイン研究所/ JPDA学生賞2025 遠藤健一賞)
大商硝子株式会社様は、1956年に設立された硝子および樹脂を使用した容器を製造する企業です。長年にわたり培われた成形技術と加飾技術を強みとし、特に化粧品分野において、デザイン性と品質の両立を実現してきました。
また、工場ではCO₂フリー電力を使用するなど、環境への配慮にも積極的に取り組んでいます。さらに、健康経営の活動を通じて、働く人の環境づくりにも注力しており、持続可能なものづくりを意識した企業だと感じました。
大商硝子さんの製品は、単なる容器としての機能にとどまらず、視覚的・触覚的な魅力を重視したデザインが特徴です。紹介して頂いたものにはいろいろな特徴やこだわりがありました。
砡ガラスは、乳白色の柔らかな色調を持ちながら、凛とした佇まいを感じさせるガラス素材です。光を均一に拡散させることで、上品で落ち着いた印象を与え、化粧品容器として高い付加価値を生み出しています。素材そのものの表情を活かしたデザインである点が特徴です。次にインナーレリーフは、ボトルの内側にリブ状のレリーフを施したダイレクトブローボトルです。外側はシンプルな形状でありながら、内部構造によって光の反射や奥行きを生み出し、視覚的な印象を豊かにしています。見えない部分の造形までデザインとして捉える姿勢が感じられます。
容器の外側の加工としてもさまざまなものがありました。
シルク印刷は、シルクスクリーンと呼ばれる版を使用する印刷技法です。インクの発色が良く、ロゴや文字を明確に表現できるため、視認性とデザイン性の両立が可能です。
ホットスタンプ加工は、刻印に熱と圧力を加え、箔を容器に転写する技法です。金属的な輝きが生まれ、高級感や特別感を演出する際に効果的です。
プロセスホットスタンプは、シルク印刷後の半乾きのインクの上に箔を転写する、ガラス特有の技法です。印刷と箔押しが一体となった独特の表現が可能で、繊細かつ立体的なデザインを生み出します。
フロスト加工は、フッ酸を主体とした薬液によってガラス表面を侵食し、マットな質感に仕上げる加工です。光沢を抑えることで、落ち着きや洗練された印象を与え、触感にも特徴が生まれます。
塗装加工では、塗料を吹き付け、UV照射によって硬化させます。グラデーション表現やパール調の仕上げが可能であり、色彩によるイメージ表現の幅を広げています。
蒸着加工は、アルミニウムを用いた真空蒸着による加飾方法です。金色に反射するほどの強い光沢が得られ、鏡面のような仕上がりによって、視覚的なインパクトを与えています。
大商硝子様は、素材、成形、加飾を一体として捉えたデザイン性の高い容器づくりを行っている企業です。特に、砡ガラスやインナーレリーフに見られるように、素材や構造そのものをデザインとして活かすところが印象的でした。そして、多彩な加飾技術によってブランドイメージに応じた表現を可能にしており、デザイン分野においても学ぶ点の多い企業であると感じました。
企業研修レポート:近藤美都(香川大学/ JPDA学生賞2025 米森志郎賞)
大商硝子株式会社様での企業研修では、過去に手がけたパッケージの実例と手法についてご説明いただきました。 実際に製品を手に取りながら制作過程についてお話を伺い、パッケージデザインへの知見を深めることができました。一つのパッケージを完成させるために、それぞれの企業の強みを活かしながら協力して作り上げているということがよく分かりました。
また、過去に手がけた数々のパッケージ展示を拝見し、普段目にする身近なものから授業で見たことのあるものまで、本当に多種多様なパッケージデザインに携わっていることを実感いたしました。実際に手に取ることで、質感や形状を直接五感で確かめることができ、実物ならではの学びを多く得ることができました。
今回の研修を通して、学校生活では得られないパッケージデザイン業界のリアルな空気を感じることができました。数多くの展示を見学し、自分もこんなパッケージを作ってみたいという刺激もいただきました。この研修での学びを、今後の制作に活かしていきたいと思います。

■廣川ホールディングス株式会社様
企業研修レポート:山崎樹乃(香川大学/ JPDA学生賞2025 銀賞・ツジカワ賞)
廣川ホールディングス株式会社様の企業研修では、同社が紙問屋として創業し、現在はパッケージとプロモーションを一体で考える企業へと発展していることを学びました。パッケージはただ商品を包むものだと思っていましたが、実際はマーケティングの一部であり、売り場で手に取りたくなる仕掛けや開封体験まで設計できると知り、とてもワクワクしました。流通効率を高める構造設計や、ゲーム性のある仕掛けボックス、エンボス加工やオリジナル缶などの工夫によって商品の魅力が大きく変わることにも驚きました。また、色はセンスではなく理論で考えるというカラーマーケティングのお話も印象的で、見るだけで伝わるデザインの力を実感しました。パッケージは「作る」と「使う」をつなぐ大切な存在だと感じ、今後の制作にも活かしたいと思いました。
企業研修レポート:内田彩花(安田女子大学/ JPDA学生賞2025 甲斐みのり賞)
今回、展示されていたたくさんのパッケージを見学させていただきました。実際に触れてみて、どのパッケージもただ商品を包むための箱というだけでなく、開き方に工夫が施されていたり、立体的な構造によって特別感が演出されていたりと細部までデザインが考えられている点がとても印象的でした。商品を購入した人や受け取った人が開封する瞬間にワクワクするような体験を生み出していると感じ、パッケージデザインの重要性を改めて感じました。また、機能性とデザイン性の両方を兼ね揃えることで、パッケージにはまだ多くの可能性があると感じました。今回の見学はデザインを学ぶ者として視野を広げる貴重な機会となりました。




